草ヶ谷 透李くん。僕が高校2年生になってから出来た初めての友達。僕は昔から自分の容姿がコンプレックスだった。白にも近い銀髪に青い目。父は日本人、母は日本人とロシア人のハーフ。父は黒髪で母は日本人の祖父譲りの茶髪だった。僕の双子の姉も茶髪と黒髪で産まれてきた。僕だけ、生まれつき祖母とそっくりの容姿だった。

その見た目のせいで距離を取られていた。だから僕は前髪と髪のもみあげ部分だけを伸ばし、さらに黒いマスクでなるべく顔を隠してきた。それでもジロジロ見られていたけれど。

高校2年生になって、訳あって日本から出てドイツの学園にいった。そこで透李くんと出会ったんだ。透李くんは僕になんのわけ隔てもなく話してくれた。僕を友達だと言ってくれた。朝挨拶をして休み時間を一緒に過ごしてご飯を一緒に食べて、学園の別々の寮に入るまではいつも一緒だった。

そんな日が一変した。


「また明日!」

「光の眼が天に登りし時、また会おう(また明日)」

そう言って僕たちはお互いの寮に向かって歩いた。

その次の日

「…あれ?今日は透李くんまだかな」

いつも僕より先に来て静かに席に座って待っている透李くんが今日はいなかった。自分の席につくと、普段は話しかけてこないクラスメイトの女子が3人くらいのグループで話しかけてきた。

「稲垣くん、おはよう!」

「……あ、お、おはようございます…」

透李くん以外のクラスメイトは苦手でどうしても緊張してしまう。

「今日、草ヶ谷くんは?」

「…分かりません。僕にも連絡は来ていないので……遅くなっているだけかと」

僕が透李くんと仲が良いから聞いてきたみたいだった。

「そっか、普段いつもふたりで話してるから全然声かけられなくてさ、草ヶ谷くんが来るまで私達と話そうよ」

その子達は明るくて所謂陽キャと言う部類の子達だったが、あまり話さない僕には有難いくらい話してくれてしばらく会話を楽しんだ。

…その日から透李くんは学園に来なくなった。