「貴様に無用な心配をかける訳にはいかなかった」

志瑞也の美しい碧眼が揺れる。悲しいような悔しいような、それでいて少し嬉しいような、不思議な熱を帯びていた。

「こちらが本音だ」

「僕…寂しかった。透李くんが居なくなっちゃって、僕はひとりぼっちだった」

志瑞也はポツリポツリと話し出す。

「もう帰ってこないんじゃないか。一生会えないんじゃないかって…。でも事情があるかもって、連絡は控えてきた」

「すまないことをした」

否定もできず、ただ素直に謝った。

「謝って欲しいわけじゃない。…僕、寂しかった。今まで透李くんがいたから2人で行ってた任務、ほかの人と行ったんだよ」

…志瑞也と行っていた任務。殆どが学園に入り込んだ敵との戦闘。透李の絶対防御と普段の志瑞也からは全く感じられないほどの特攻で片付けていた案件だ。

「それで、どうなった」

まさか失敗でもしたのかと心配し、聞いてみる。

「特攻は止められたよ。俺らじゃ透李みたいにお前を守れないって。僕、だから最近、戦闘が物足りなくって…」

志瑞也がこぼす。透李が学園にいた頃の彼と変わっていなくてちょっと安心したと共に、ぶるっと身震いした。

「…ふん、やはり貴様と組むには役不足だったか」

そこまで言うと志瑞也が今までしていた黒マスクを顎まで下げ、透李に向かって、二ッと笑った。

「ねぇ、透李くん