今日は透李とあむの結婚式。透李は早速1つの試練と対峙していた。
「志瑞也…」
「久しぶり、透李くん」
目の前で以前思い出した笑顔の朗らかな唯一の友人、稲垣 志瑞也(いながき しずや)が変わらぬ笑顔で笑いかけてきている。相変わらず日本人離れした白銀の髪と碧眼の美しい容姿に思わず一瞬見惚れていると、志瑞也の笑顔が、少し歪む。
「…僕、透李くんといつも通りまた明日って言ったのに、次の日には僕の前から消えると思ってなかったなぁ…」
怒っている。怒り慣れてないからか、嫌味っぽいことしか言えてないがめちゃくちゃ怒っている。
「悪かったとは思っている。しかし我には任務が…──」
「そんなことはわかってるよ!」
普段は穏やかな志瑞也が渾身の声で叫ぶ。大声を出し慣れてないからか声が少し裏返っていた。
「僕が言ってるのは…なんで僕になんにも言わずに行っちゃったかってことだよ…」
志瑞也が透李をじっと見つめ、やがてポロポロと泣き始めた。志瑞也の肩のターコイズブルーのカメレオンがしっぽで器用に志瑞也の涙を拭いている。動物とは思えない行動はフログメントを彷彿とさせた。
「ありがとう、レオン…」
『気にするな志瑞也。私が好きでしているだけだ。私は何時でも志瑞也の味方だ』
志瑞也が最後に自分で涙を払うと、透李に向き直り、話を戻した。
「そこはもういいや。緊急の任務だったってことにする。……でも、なんでいきなり結婚とかいう話になってるの!?」
次は怒りではなく本気の困惑で志瑞也が問うてくる。透李は自分でもよく分からず少し考え込んでしまう。
「円環の理に導かれてしまったのだ」
なんとかそれっぽいことを言ってみる。いつもは透李の言葉をまるで普通の言葉で会話しているかのように理解してくれる志瑞也も今回は首を傾げている。ふぅと息をつき、透李は分かりやすく志瑞也に改めて説明した。
「我は学園長殿より言い渡された任務の情報を集めるため、この地に足を運んだ。情報を集めるうちに…詳細は省くが、しばらくこの地に留まることとなった。この地は情報が集まる故、我自身も悪くないと思っていた。そこで、円環の理に導かれてしまった。誓いを結びし者とな」
「…そっか、学園長先生からの任務だったんだね。どうして僕には言ってくれなかったの?」
寂しげに聞く志瑞也に話を続けた。
「それは、貴様は我がいなくとも、充分やっていけるだろう、今生の別れと言うわけでもあるまいし、言う必要もないと思っていた…」
志瑞也が口を開きかける。透李はそれを遮る。
「いや…というのは嘘だな」
「志瑞也…」
「久しぶり、透李くん」
目の前で以前思い出した笑顔の朗らかな唯一の友人、稲垣 志瑞也(いながき しずや)が変わらぬ笑顔で笑いかけてきている。相変わらず日本人離れした白銀の髪と碧眼の美しい容姿に思わず一瞬見惚れていると、志瑞也の笑顔が、少し歪む。
「…僕、透李くんといつも通りまた明日って言ったのに、次の日には僕の前から消えると思ってなかったなぁ…」
怒っている。怒り慣れてないからか、嫌味っぽいことしか言えてないがめちゃくちゃ怒っている。
「悪かったとは思っている。しかし我には任務が…──」
「そんなことはわかってるよ!」
普段は穏やかな志瑞也が渾身の声で叫ぶ。大声を出し慣れてないからか声が少し裏返っていた。
「僕が言ってるのは…なんで僕になんにも言わずに行っちゃったかってことだよ…」
志瑞也が透李をじっと見つめ、やがてポロポロと泣き始めた。志瑞也の肩のターコイズブルーのカメレオンがしっぽで器用に志瑞也の涙を拭いている。動物とは思えない行動はフログメントを彷彿とさせた。
「ありがとう、レオン…」
『気にするな志瑞也。私が好きでしているだけだ。私は何時でも志瑞也の味方だ』
志瑞也が最後に自分で涙を払うと、透李に向き直り、話を戻した。
「そこはもういいや。緊急の任務だったってことにする。……でも、なんでいきなり結婚とかいう話になってるの!?」
次は怒りではなく本気の困惑で志瑞也が問うてくる。透李は自分でもよく分からず少し考え込んでしまう。
「円環の理に導かれてしまったのだ」
なんとかそれっぽいことを言ってみる。いつもは透李の言葉をまるで普通の言葉で会話しているかのように理解してくれる志瑞也も今回は首を傾げている。ふぅと息をつき、透李は分かりやすく志瑞也に改めて説明した。
「我は学園長殿より言い渡された任務の情報を集めるため、この地に足を運んだ。情報を集めるうちに…詳細は省くが、しばらくこの地に留まることとなった。この地は情報が集まる故、我自身も悪くないと思っていた。そこで、円環の理に導かれてしまった。誓いを結びし者とな」
「…そっか、学園長先生からの任務だったんだね。どうして僕には言ってくれなかったの?」
寂しげに聞く志瑞也に話を続けた。
「それは、貴様は我がいなくとも、充分やっていけるだろう、今生の別れと言うわけでもあるまいし、言う必要もないと思っていた…」
志瑞也が口を開きかける。透李はそれを遮る。
「いや…というのは嘘だな」