「ダメだな…うーん……」
あむが厨房に着くと、いつもの高らかな威圧感たっぷりの声ではなく、あむにだけ見せてくれる優しい声が聞こえた。……イリスといるはずの透李が、あむにだけ見せてくれる、優しい声で話している。
「……」
泣いちゃダメだ。お姉さんなんだから。
頭を振って嫌な想像を振り切り、厨房に躊躇わずに入った。
すると……
「あ、あむ……?あっ……」
優しい声のまま透李が一人でいた。透李の目の前には少し歪なケーキのスポンジとちょっと混ぜすぎて固くなっているクリームが塗り掛けで置いてあった。透李はそれを隠そうとわたわたしていたが、流石に無理がある。
「透李っち、何してるんすか?」
わたわたしている透李が面白くて少し笑いながら聞くと、透李はあむから目を逸らしたまま白状した。
「来週…あむの誕生日だって聞いたから……ケーキを作りたくて」
「誕生日……??」
そうだ、そういえば来週は自分の誕生日だ。王宮に来てから初めての誕生日。最近忙しくてバタバタしていたから忘れていた。
「ケーキって、その歪なスポンジとそのクリームで作る気っすか?」
「……りょ、料理なんてしたことないんだもん。…実家は家事するくらいなら勉強しろって言われたし……学園ではお弁当作ってたけどほとんど冷食だし……。王宮に来てからは、葉月さんの美味しい料理が食べれるし」
透李はあむから目を外したまま答える。
「ケーキ、作る練習を1人で?」
「出来るわけないでしょ、初心者だよ?だから……蓮糸さん…イリスさんに聞いて、一緒に……」
ここで整理する事にした、ひとつずつ自分の勘違いを解いていく必要がありそうだ。
あむが厨房に着くと、いつもの高らかな威圧感たっぷりの声ではなく、あむにだけ見せてくれる優しい声が聞こえた。……イリスといるはずの透李が、あむにだけ見せてくれる、優しい声で話している。
「……」
泣いちゃダメだ。お姉さんなんだから。
頭を振って嫌な想像を振り切り、厨房に躊躇わずに入った。
すると……
「あ、あむ……?あっ……」
優しい声のまま透李が一人でいた。透李の目の前には少し歪なケーキのスポンジとちょっと混ぜすぎて固くなっているクリームが塗り掛けで置いてあった。透李はそれを隠そうとわたわたしていたが、流石に無理がある。
「透李っち、何してるんすか?」
わたわたしている透李が面白くて少し笑いながら聞くと、透李はあむから目を逸らしたまま白状した。
「来週…あむの誕生日だって聞いたから……ケーキを作りたくて」
「誕生日……??」
そうだ、そういえば来週は自分の誕生日だ。王宮に来てから初めての誕生日。最近忙しくてバタバタしていたから忘れていた。
「ケーキって、その歪なスポンジとそのクリームで作る気っすか?」
「……りょ、料理なんてしたことないんだもん。…実家は家事するくらいなら勉強しろって言われたし……学園ではお弁当作ってたけどほとんど冷食だし……。王宮に来てからは、葉月さんの美味しい料理が食べれるし」
透李はあむから目を外したまま答える。
「ケーキ、作る練習を1人で?」
「出来るわけないでしょ、初心者だよ?だから……蓮糸さん…イリスさんに聞いて、一緒に……」
ここで整理する事にした、ひとつずつ自分の勘違いを解いていく必要がありそうだ。