告白をした日からもあむは変わらず透李を起こし仕事をする。そこは全く変わっていなかった。あれ以来特に何も無いし、振られたということだろう。
1つだけ変わったことと言えば透李なりに気を使っているのか仕事が終わったあと2人で王宮の庭を少しだけ散歩する時間をとってくれることだった。

特に何を話すでもなく、夕焼けに照らされる草花を見て王宮に帰る。透李のおかげでどうにか気まずくはならずに済んであむは安心していた。


ある日、透李が朝からあむの部屋を尋ねてきた。今日は休みのはずだったので起こしに行かなかったのだが気に触ったのだろうか。

「何をしている、早く支度をしろ」

「はい?」

「冷徹の玄武より外出の許可が出たのだ。早くしなければ置いてくぞ」

「え?」

「いつまで呆けているのだ。我は門前で待つ、我の気の変わらぬうちに来るのだな」

「あ、は、はい」

訳が分からないがとりあえず出かけようと言われたので服をきがえることにする。よくよく考えると好きな異性と2人で出かける…所謂デートなるものをちゃんとしたことが無い。何を着ればいいか分からなくなったがとりあえずカジュアルなものを身につけ、いつもより明るい色でメイクをし、部屋を出た。

透李は壁に寄りかかり待っていたようで、あむが出てくると、ふっと笑い

「馬子にも衣装だな」

と言って歩き出した。馬子にも衣装は確実に悪口だったのに惚れた弱みなのか笑顔が頭から離れず怒る余裕もなかった。