や、やってしまった…

いつも通りの仕事、いつも通りの道を歩いたつもりだったのに初対面の人とあうと緊張してドジをやらかしてしまう。
使い魔の猫、アリスが俺を覆う氷を触る。パリンと氷は割れて俺は解放された。

「怒ってるかな……」

さっきのメイドさんに想いを馳せつつぶちまけた資料を集める。全て集め終わり緋女様に渡しに行こうと思ったら、扉が開いた。


「ごめんなさい、私……あれ？」

驚いた顔をした彼女がそこに立っていた。

「先程は申し訳御座いませんでした！」

資料を机に置き、土下座する。彼女は途端にオロオロしだし、

「顔を上げて下さい……」

と呟いた。

「さっきのはびっくりしました。でも、なんスーさんもわざとじゃなかったんだと思いますし、私もびっくりしたからって……凍らせてしまってすみません。……殺してしまったかと思いました」

「俺はあれくらいでは死にませんよ。氷麗さんも実は本気じゃなかったでしょう。もっと強いでしょう。オーラを感じますし」

俺が微笑むと氷麗さんは何も言わず、書斎の掃除に取り掛かろうとしていた。そうだ、彼女は掃除に来たんだった。
俺はそう思い出し、机の資料を持って書斎を出た。しばらく歩いていると緋女様と会い、ご挨拶しようと少し早足で近づいたらまたもや何も無いところで躓き、緋女様の胸元に顔を埋めてしまい、しっかり執事長に怒られた。

それにしても……ほんとに可愛くて優しい、素敵なメイドさんが来たものだ。