私は助手席の窓から桜を見ながら呟いた。
チラっとお父さんの方を見ると、
少し驚いた表情をしていた。

「なんだよ、珍しいな。」
お父さんは笑いながら言った。
お父さんは男手ひとつで私を大切に育ててくれた。
母親は私が産まれた頃に亡くなったため、私はもちろん顔など知らない。

私は中学の頃、少し荒れてた。
警察沙汰になることが数回あった。
だけど、そんな時も私を見放さずに、
ここまで育ててくれた。

「……ほんとに感謝してるよ。ありがと。」