戻ってきたんだ…(短編)



「…………」


「お願いだから、ずっと一緒にいて……?

約束、したでしょ…?ね?お願い…。

一人に、しないで…っ」


「紗梨奈……」


僕を抱き締める彼女の腕に力が籠る。



…離したくない。




…離れたくない。


できることなら

このまま―――。


「っ……紗梨奈!」


少し強めに名前を呼ぶと、彼女の肩がびくりと跳ねた。


何考えてるんだ、僕は。

さっき決心したばかりじゃないか…。


力の緩んだ両手に、もう一度力を入れ直して彼女の肩を掴む。

そして、そっと体を引き離した。