急ぎ足で道を行き交う人々。 それをぼんやりと見つめながら、僕は立ち尽くしていた。 何年も見てきた光景。 もう見ることのないと……。 いや。 見ることができないと思っていた。 なのになぜ。 僕はここにいるのだろう。 なぜ。 来てしまったのだろう。 『翔(しょう)……』 僕を呼ぶ声が、ひどく懐かしくて。 あたたかくて。 つい……。 そう。 君に呼ばれた気がしたんだ。