「あーあ、これだから。無自覚女子は困るわ~」


そんなことを言いながら、茉由ちゃんはあたしの前の席に着いた。


「みくー、変な男に言い寄られてないでしょーね。例えばこいつみたいに~」


茉由ちゃんが振り返りながら、バッグから教科書を出して、その教科書を隣の牧島くんに向けた。


「うっせー、間宮。べつにいいだろ。一目惚れだったんだから」


牧島くんは、ちょっと赤くなりながらあたしを見た。