翌朝、気怠い空気が漂うベッドの中で、私は、目を覚ました。
いつの間にか、コウヤに後ろから抱きかかえられるようにして眠っていたようだ。

あの後、何度か眠ったり起きたりを繰り返し、その度にコウヤは、私に女としての喜びを与えてくれた。
それでも結局、最後までコウヤは、私を抱くことはなかった。
でも、それが余計に、私の中にある女の性に火をつけたことをコウヤは気付いていない。

振り返り、コウヤの寝顔を見つめた。
整った顔立ち、長い睫毛、昨夜私を熱くした柔らかな唇。
どれを見ても、昨夜のことを思い出してしまい、胸が切なくなる。

「ん……ファム?」

コウヤが目を覚まして、私を見た。
その瞳の中に、私への愛情を感じ、胸がきゅんと鳴った。

「おはよう」

そう言って、コウヤが私に優しく口付けをする。
私がそれに口付けで答えると、ふっと柔らかく笑う。

「まだして欲しいの?」

コウヤは、可愛くて仕方ないといった顔で、私の頬に触れた。

今日は、日曜日だ。
一日こうしてゆっくり家で過ごすのも悪くない。

コウヤの指先が私の身体に触れ、再び私の身体が熱を帯びて行く。


その時、家のインターホンが鳴った。


同時に、私は、一気に現実世界へと引き戻される。
時計を見ると、まだ朝の八時過ぎだ。
宅配でも頼んでいただろうか、と思い出そうとしたが、それにしても時間が早すぎる気がする。

続けて、再びインターホンが鳴る。

どうやら訪問者は、帰る気がないらしい。
私は、気怠い身体をベッドから起こすと、とりあえず、落ちていたシャツとズボンだけを身に着け、玄関へと急いだ。

三度目のインターホンが鳴りかけた時、私は、少し苛立ちながら玄関の扉を開けた。
その時、何故、ドアスコープから外を覗いて相手を確かめなかったのか、私は、後から悔やむことになる。

「はい、何ですか……?」

扉の向こうには、私の元カレ、純也が立っていた。