彼女は変わっていない、見た目は歳を重ねても内面は、僕が恋した18のままだった。

「砂浜に降りよっか?」
 
「いいねー、行きたい!」

あまり人が通らないのか、草が生い茂った道を、
彼女の手を取りながらゆっくりと降りて行く。

「圭くん、ちょっと怖いかなぁ」

「しっかり掴まってないと、置いてくよ」

「もう、そんな意地悪言わないでよ!」

お互い歳のせいもあるだろう。おぼつかない足取りで支え合うように進む。

砂浜に降りると、離れた所に数人の人影が見えた、

「サーファーだね、もう帰り支度をしているみたいだ。ん、美幸ちゃん?」

返事がなくて見渡すと、彼女は波打ち際に向かって走っていた。

「圭く〜ん、こっちー、早くきて」

もう若くないんだけど、
まぁ、つきあってあげるか、

彼女を追いかけて走る、すぐに追い付くとそのまま抜き去った、
「圭くん速すぎ、待ってよ」

止まって振り返ると、疲れたのか彼女は歩いていた。

彼女のペースに合わせて後ろ向きに歩く、
2人の距離は縮まらない。

「意地悪しないで、、
 また、、私を一人にするの?」

彼女の言葉が胸に刺さった、、

その言い方、ずるいよ、、

立ち止まって、両手を広げてあげた。

笑顔で勢いよく飛び込んでくる彼女を抱き止めるつもりが、抱き合ったまま押されて倒れ込んでしまった。

そこに、運悪く波が攫う。

「つめた〜い」

「美幸ちゃん、びしょ濡れだよ〜」

「あはははは、別にいいじゃない!」


やっぱり笑顔の彼女が一番輝いている