今日は年に一度の、女の子の告白イベントだった、
世話好きの林さんは、恋のキューピット役に抜擢されたみたいだ。
「知ってるけど、、フラれたばかりの僕には関心がないから」
思い出したくもない、、
という前に、いまだに忘れられぬ恋だった、
半年前に、大好きだった彼女に突然別れを告げられた、
名も知らぬ彼女からの告白で始まった交際は、いつの間にか僕の方が彼女に夢中になり、僅か半年ばかりでその寿命を終えた。
その時には、僕はもう彼女のいない未来は考えられなかった、、
苦しくて、悲しくて、やり場のない寂しさが僕を襲った。
フラれたくせに未練たらしく友達でもいいから彼女の近くにいたい、そう願っていた。
「8組の河崎さんだったっけ?
可愛い子だよねー」
「うるさいな、ほっといて貰えますか」
「はーい、ほっとけませーん、私が今から君嶋くんにピッタリなもっと素敵な子を紹介してあげるからさ、もうあの子の事は諦めなさい」
林さんは、人が気にしている事を遠慮なく口にする。でも、明るい性格のせいか、嫌味を言っても憎まれない徳な性格をしていた。
「さぁ、行こ、行こ」
あまり乗り気はしなかった。
いまだに別れた彼女の面影が焼き付いて離れない。
誰に告白されようと、大きな傷を負った僕の心は簡単には癒されることはないと思っていたからだ。
それでも強引な林さん連れられて、渋々教室を後にした。
廊下を真っ直ぐ進むと校舎の中央部に階段がある、
彼女はその階段を昇り始めた。
実のところ僕は女の子が苦手だった、気恥ずかしいとでも言うのだろうか、ある程度慣れてくれば意識しなくなるけど、最初の喋るきっかけが僕には見つけられないでいた。
誰なんだろう、僕の知ってる子だろうか、
階段を昇り切った正面には非常口があって、この寒い時期ドアは閉じられていた。
鉄製の重たいドアは風の力も加わって更に重たく感じられる、身体を預けて力一杯に開けると2月の冷たい空気に晒された。



