人の出会いに偶然はなく、全てが必然であると僕は信じたかった、出会うべくして君に出会ったのだと、、
それは神の悪戯でもなく奇跡でもない、僕と彼女の運命的な再会は小説を発表してから3年後に訪れた。
2020年 東京都内 某家庭
「お母さん、今話題の本読んだ?」
「何の話? 私は本に興味ないから全然知らないわ」
「あのさ、38年前に別れた彼女を探すために、実名、実話で書かれた本を出して彼女に見つけてもらうっていう内容の本なんだけどさ、
どうやら、この著者の君嶋さんが本当に別れた彼女を探してるんじゃないかって、話題になってるんだよ」
「へぇ、面白い事考えるね」
「それでね、その探してる彼女の名前が本にも出てるけど"美幸さん"って言うの、お母さんも美幸でしょ」
「私は絶対違うわよ、そんな名前の人知らないし」
「まぁ、噂だから。本の内容もどこまで真実かわからないし。
でもさ、全国の同年代の美幸さんは私の事じゃないかってネットで盛り上がってるらしいよ、
読んでみないと、わからないから本が売れてるんだって」
「そうか、内容に心当たりが無ければ違うもんね、
私も読んでみよかな、
もし探してる人が私だったらどうする?」
一年後、
「もしもし、君嶋圭悟さんのお宅ですか?」
「はい、圭悟は私ですが、どちらさん?」
「・・美幸です」
「・・・・」
「圭くん、やっぱり生きてるんじゃない!
私のこと、本に書いたでしょ」
「・・・・」
「圭くん?」
「美幸ちゃん、
やっと、やっと見つけた、、」
信じられなかった、
あの本が彼女の目に触れて、まさか本当に読んでくれたなんて、
小説をネットに発表してから3年余り、半ば諦め掛けていたのに。