圭くん、本当だね、、
二度と会えないと思うと、余計に恋しさが込み上げてくる。

懐かしい思い出を振り返るうちに、いつの間にか眠ってしまっていた、
気が付くと時計は夜中の0時を回っていた。

いっぱい泣いたせいか喉が渇いて、水を飲みにキッチンに行こうとして、リビングの灯りが点いていることに気づいた。

「美咲? まだ起きてるの?」

「あっ、お母さん、もう大丈夫なの? 
 、、私も本読んだよ」

ソファにもたれる美咲の傍らには、あの本が置かれていた。

「えっ、いつの間に読んだの?」

「お母さんが泣き疲れて寝てる間、私が本を取り
 に行った事も知らないでしょ?」

まったく気づかなかった。

「お母さん達、本当にあんな素敵な恋愛してたの?
 純愛って感じだね」

「小説の話? 半分くらいは事実かな」

「いいなぁ、私もあんな恋がしたかったな、
 だって、今の私が読んでも胸がキュンてなるよ」

「何言ってるの、
 美咲はまだ若いんだから、これからじゃない」

「同年代の男は、やりたいばっかで全く駄目だよ、
 好きだ愛してるのオンパレードで、許しも得ずに
 勝手に肩を抱いてきたり、キスしようとしたり、
 誰があんたなんかとって言いたくなるもん」

「はぁー、だからあなたは彼氏ができないの」

「あ〜あ、私の前にも君嶋さんみたいな素敵な人
 が現れないかな」

娘の言葉に、私は何故か嬉しくなった。