僕が訊いても、彼女は俯いたまま顔を上げようとしない、

正面にしゃがみ込んで両手を彼女の頬に添えて、

「美幸ちゃん?」

顔を上げようとして拒まれた。

「美幸ちゃん、僕を見て!」

彼女は俯いたまま、
「もう、もう圭くんの顔が見れない!」

「なんで!、僕は此処にいるのに?」


手紙、、手紙になんて?

「美幸ちゃん、手紙に何が書いてあるの!」

「さ・・・さよならって」
言いたくも無い言葉を絞り出したかのような声が、震えていた、、

「どうして! 僕が嫌いになった?」

彼女は首を横に振って、
「・・・大好きだよ、
 出会った頃より、今が一番好き、、」

「じゃあ、何で別れるなんて!」

「圭くんが少しずつ離れて行くのがわかるから、毎日不安で不安で。もう、耐えられないから、、」

「僕は美幸を嫌いになったりしないよ」

「そう信じたいけどごめんね、圭くん、ごめん、、」

彼女の涙を指で拭って、顔から手を離した、

相当な覚悟がある気がする、
もう僕には、何もしてやれないかもしれない。

「美幸ちゃん、、もう、戻れないの?」

彼女は躊躇いがちに、首を

縦に降った。

「そうわかった、もう何も言わないよ、
   駅まで送るから」

二人無言のまま、駅まで歩いた。
たった5分程度の道のりが僕には凄く長く感じられた。
それでも、永遠に辿り着かなければいい、、そう願っていた。