次の日は日曜日で、部屋でくつろいでいると、母親が、僕を呼ぶ声がした、

「圭悟、お客さんだよ」

客? 
階段を降りながら母親に訊いた。

「だれ?」

「白河さん、あんた何かしたでしょ」

「えっ、美幸?」

「なんか元気なかったから、早く行ってやって」

よく此処がわかったものだ、住所は知ってても駅から15分は歩かなければならない。
ろくな地図も無かった時代に、ここまで辿り着くには、あちこち人に道を訊ねながら歩くしかない。

靴を履いて玄関を出ると、すでに彼女の姿は無かった。

玄関を振り返って、
「母さん、美幸何か言ってなかった?」

「手紙を書いたから渡したいって、ひょっとしてまたポストに、、」

慌ててポストを覗くと、確かに彼女の手紙が入っていた。

せっかくここまで来たのに、なんで手紙だけ置いて、、

急いで自転車に跨がり、駅までの道を探した。
しかし、何処にも彼女の姿は見当たらなかった。

僕に見つからないように、違う道を選んだか?
嫌な胸騒ぎが収まらない。

あちこち違う道を探しても、何処にも彼女の姿を見つけることができなかった。

美幸ちゃん、、何処にいるの、

ふと、一本通りを挟んだ向こう側に公園が目に入った。
生い茂った木々に阻まれて道路から中は見えない。
出入り口に回って公園の中を見渡すと、ブランコ横のベンチに彼女の姿を見つけた。

ほっと胸を撫で下ろした、

「美幸ーー!」

彼女は僕の呼ぶ声にびっくりして、そのままその場に泣き崩れてしまった。

近くに歩み寄って、
「探したよ、なんで手紙だけ置いて」