暫くして、
「もしもし、君嶋くん? 美幸です、電話ありがとう」

「返事遅くなってごめんね」

「大丈夫だよ、返事が遅い方がまだ脈があるかなって思うから、だって私の事どうでもいいなら、すぐに断られていたよね」

なるほど、そういう考え方もあるんだと感心する。

「なんてね、本当はまだかなってドキドキしながら待っていたんだけどね」

「白河さん、僕の正直な気持ちを話すね。
君の気持ちは凄く嬉しいけど、別れた彼女の事が未だに忘れられないんだ、だから、、」

彼女は、僕の話を遮る様に喋り始めた、

「待って、私ね、一年の時から君嶋くんの事ずっと見てた。河崎さんと付き合い始めた時も、別れた時も知ってるよ。
あんなに明るくて可愛い子に私が勝てるはずないけど、あなたを好きな気持ちは負けてないと思う」

彼女の想いは手紙に全て綴られていた、その想いの強さも僕は知っている。

「ありがとう。もう彼女が僕の方を見ていないのは分かってるんだ、それでも忘れられない。こんな気持ちで君と付き合っても、何もしてやれない気がする、君が嫌な想いをするだけだよ」

「それでもいい、友達からでもいいから、、」
声が震えていた、、
「友達でもいいから、、」

ん、待って、、どこかで聞いた言葉だ。

そうか、僕がフラれた彼女に言った言葉だ、
例え、彼女の気持ちが自分の方を向いていなくても、友達としてでもいいから彼女の近くに居たかった。
そうだ、縋るように僕が彼女に言った言葉、、

あの時の僕と同じ気持ちでいるのだろうか、
あの苦しくて藁にも縋る感情が、今の僕には手に取るように分かっていた。


「白河さん、僕は君の事をあまり知らないからさ、少し時間をくれる、
先ずは友達からでいいかな?」

「えっ、ほんとに? 本当にいいの?
 ありがとう君嶋くん」