残暑が続く9月中旬。
いつも通り登校し、いつも通り自分の席につく。
1番後ろの窓際の席で、昇降口の自販機で買った冷たいコーラの缶をプシュッと開ければ、ざわついていたクラスメイトが一瞬こちらを向くが、話しかけてくることはない。
いつも通り1人で過ごしているって思われているんだろうな
コーラに口をつけ、息を軽く吐き出せば、開いている窓枠に3体の小型の人のようなソレが腰掛け、私を見た。
「飛和!おはよう」
「またお前、ハイカラな飲み物を飲んでいるな」
「どれ!今日は私達にもひと口おくれ」
そう話しかけてくる小さな友人は、人ではない妖、またはお化けと呼ばれるモノ達。
気性の荒い妖もいれば、こうやって見える私を珍しがって話しかけてくる妖もいて…
『良いけれど、この缶は君には少し大きすぎるわ。
君のサイズに合う器をもってきて?』
そう小声で妖達に返答すれば、楽しそうにどこかへ行ってしまう彼らにフッと微笑めば、私の近くにいたクラスメイト達が、ギョッとした顔で私を少し見つめる。
本当にみんな、見えないのね…
そう心の中で呟きながら、視線を窓から前の黒板に移そうとすれば、
「よっ、またなんか居たかよ」
そう私の前の席にドシッと腰掛けたクラスメイトの菅原が私を覗き込む。
菅原だけは昔から、私に興味津々なのよね
『おはよ。いつものが居たの』
「過去形?今は居ないのか?」
『なんかコーラ飲みたいらしくて、自分の器取りに行ったよ』
「へぇ、炭酸飲めるかなぁ…」
『びっくりするだろうなぁ、ふふ』