『私でいいの、、じゃあ皆んなには"君嶋くんは私と組みたいんだって"って言っちゃうよ、私に気があるみたいにね』
意地悪っぽく言ったつもりなのに、
『うん、頼むよ』って、彼はノリが悪い、
そんな言い方はしていないとか、普通は否定するのに、
君嶋 圭悟くん、
同じクラスのちょっと気になる男の子、二学期の始め学校からの帰り道で、自転車のチェーンが外れて困っていた私を彼が助けてくれてから、気がつけば私の視線は彼を追いかけていた。
ふとした瞬間に見せる、眼を細めた彼の優しい横顔が私は好きだ。
「そっか、美幸は君嶋くんが好きなんだ」
「そんな事は一言も言ってません」
「彼って癒しキャラだよねー、顔はまあまあだけど俺について来いタイプじゃないから私には少し物足りないかな」
「美智子の趣味は聞いてないよ」
私はそこが気に入ってるんだから、自分のペースを乱されるのは嫌いだった、グイグイ攻められるのは疲れるから嫌だ、
彼にはそんな強引さは無い、一緒にいてもきっと私のペースに同調してくれる、そんな気がしていた。
「でも美幸とは、気が合いそうかな?」
「美智子もそう思うの? どういうところが」
あっと、いつの間にか美智子の誘導に嵌っている、、
「マイペースなとこ、それに君嶋くんって奥手なのか女の子が苦手だよね」
それは同感です、、
男友達と楽しくお喋りをしているのは良く見かけるけど、女子とふざけ合う姿はあまり目にした事がなかった。
女の子の気を引こうとチャラチャラした男の子も私は嫌いだ、彼は物静かで落ち着いていて、そして誰にでも優しい。私と波長が合ってぶつかる気がしない。



