あなたに好きと言えるまで


少しずつではあるけれど、時が経つにつれて明るさを取り戻しつつある彼に、私は何かしてあげられないか考えていた。

「手編みのマフラー?」
「うん、美智子はどう思う?」

二、三年前から女子高生の間で好きな人に手編みのマフラーやセーターをプレゼントするのが流行っていた、私もそんな流行に乗っかって編み始めたことはいいのだけれど、悲しい事に今まで渡すべき彼氏がいなかった。

「お母さんの夜なべじゃないけど、普通は好きな彼氏の事を思い浮かべながら編んでプレゼントするからね、
まだ君嶋くんは美幸の彼氏じゃないから、渡された彼はどう思うかな」

「私も変かなって思うから美智子に聞いてるの!」

「美幸の気持ちがバレるかもしれないよ、それでもあげたいのなら、何か理由をつけるしかないね」

「例えば?」

「いつもの感謝のしるしとか、、うーん何かのお返しとかさ」

感謝のしるしか、、ちょっと無理があるかな。
お返しって彼に何か貰っただろうか、、

あっ、そうだ、


「君嶋くん、後ろを向いて」
「なんで?」
「いいから早く」

紙袋に忍ばせて隠しておいたものを取り出して、面倒そうに背中を向ける彼に、私は手編みのマフラーを後ろからそっと彼の首に巻いてあげた、

「マフラー? あったかい、これ白河さんが編んだの?」

「うん、そうだよ、まだ練習だからあまり上手じゃないけど、前に手作りの万華鏡をくれたから、そのお返しね」
こんな理由なら変に思われないだろう、

付き合っていたら、もっと長いマフラーを編んで二人の首に巻きたかった。手を繋いで、一本のマフラーで繋がって、貴方と歩いて行きたい。