「白河さん、手を出して」
訳も分からず、言われるがまま両手を彼の前に出した。
彼は上着の内ポケットから白い筒のようなものを取り出して、私の手の上にそっと置いた。
「なにこれ?」
彼は優しく微笑んでいる、
「横の穴から覗いてみて」
穴? 本当だ小さな覗き窓がある、その覗き窓に目を当てると、目の前に小さな銀河が広がった、
「うゎーなに?、凄くきれいー、そうか万華鏡なんだ」
私は、ゆっくり筒を回しながら変化し続ける煌びやかな世界に心を奪われていた。
「僕が作ったんだ」
「君嶋くんが作ったの? やっぱり器用なんだね」
「月があるから探してみて」
「えっ、月もあるの? あっ、ほんとだ銀色の三日月だ、何か描いてあるよ、なんだろう、わかったウサギだ! 君嶋くん月にウサギがいるよ、はははっ、こんな小さなものによく描けたね、でもウサギの絵は下手だよ、耳が長いからわかるけど猫みたい」
また彼の魔法にかかっていた、
自然と涙も消えて笑顔が溢れていたのだ、
「君にあげるよ」
「いいの?」
「そのために持ってきたんだから、その代わり約束して、もう僕の前で悲しい顔はしないで、僕は笑顔の白河さんが好きだから」
好きの言葉にピクンって反応してしまう、、けど今の好きは違う意味なのだろう、、
でも、そんな、、そんな事を言われたらまた泣けてきちゃうでしょ、
「う、うん、わかった約束する、ありがとう君嶋くん」
彼はこうなる事を予想していたのだろうか、私が元気を取り戻せるように、こんなものまで用意してくれていた。
彼がくれた手作りの万華鏡は私の宝物になった。



