「これ見てよ」
はいはいちょっと待ってよ、貴方の手元にあるんだから顔を近づけないと見えないでしょ、君嶋くん、お願いだからこっちを向かないでね、キスでもしそうなぐらい近いんだから、
「思い出ノート?」
「うん、1974年って書いてあるから6年前の先輩が書いたものだね、部員なら何でも書いて良かったみたいだよ」
「へー、昔はこんなのあったんだね。何で無くなっちゃったんだろう、でも他の人も見るから恋愛話はバレないかな?」
「当時部員が何人居たかは分からないけど、白河さんが今書いたら間違いなくバレるだろうね」
「はははっ、他に女の子がいないからね」
ってその前に文字でバレるし。まぁそんな勇気も私にはないけど、、
彼はこんな子が好きなんだろうか、、彼の好きなタイプを確かめたくて、さり気なく訊いてみた、
「君嶋くんは、こういう子が好みなの?」
「だって健気で可愛いでしょ、告白する勇気もなくて、ただ思い続けるだけなんて、こんな風に一途に思いを寄せてくれたなら、僕だったらいつでも受け止めてあげるのになって」
これはチャンスだ、さっきの話が本当なら彼の好みのタイプはきっと私にも当てはまる、想いを伝えるのは今しかない、ここは勇気を振り絞って、
「君嶋くん、、」
「この告白する勇気が出せないところが一番惹かれるかな、もし僕が人伝にそれを耳にしたら間違いなく僕の方から彼女に告白するよ」
えっ嘘でしょ、、勇気を出しちゃ駄目なの。そんな事を言われたら、、何も言えないじゃない。
「ん? 白河さん、今何か言おうとしなかった?」
突然上げた彼の顔は、まさに私の目と鼻の先にあった、
わっ、こっち見てダメだって、、
彼の顔のアップに驚いて、思わず後ろに倒れそうになる私の背中を反射神経宜しく彼の右手が、同時に私の右腕を彼の左手が掴まえた、、



