あなたに好きと言えるまで


「宇宙飛行士の方が夢があっていいじゃない、目指してみれば?」

「日本人が宇宙に行ける日なんていつ来るか分からないよ、実現不可能な夢は持つべきじゃないよね」

星が好きなロマンチストの割には意外と現実家なんだ。そうだね夢は夢として持てばいいけど、人生に必要なのは目標であって夢と混同してはいけない。
彼もしっかりと自分を持っている、そんな彼の考え方に私は共感していた。

「まあ勉強の成績もあまり良くないけどね」

「でも大学に行かないなら、君嶋くんはどうするの?」

「卒業までには考えるよ、僕の人生だから自分で決めたい」

好きな人と同じ青春を歩けるほど幸せな事はない、私の場合、今の時点でその可能性はほぼ0に近い、先の人生では私はきっと彼の横にはいないだろう、そう考えるとやり切れない寂しさが込み上げて急に悲しくなった。
たとえ卒業しても彼と繋がっていたい、そんな私の望みは希望であって、決して絶望では無いと信じていたかった。
彼と繋がりを保つには、二人の関係が良き友達関係か、恋人同士かのどちらかしかないだろう。男女の仲で恋心を持っているにも関わらず単なる友達では寂しい。
それまでに、私は彼に好きと言えるだろうか。
そして、彼はそれを受け入れてくれるのだろうか。