「すごーい、尊敬しちゃう」
そうか、自転車弄りが好きだと言っていた彼ならわかる気がする、
私が不得手な分野を逆に得意という彼を、羨望の眼差しで見つめていた。
「たまに組み立て直した時に部品が余るけどね」
「あはははっ、その時の君嶋くんの顔が目に浮かぶよ、でも、もう一度分解したりはしないんでしょ」
「まぁ、いいかなって。それでも直る時があるから不思議なんだよね、じゃああの部品は本当に必要だったのかなって」
「あはははははっ」
可笑しくて涙が出ちゃった、こんな自然な笑いに私は幸せを感じる、女の子の気を引こうと面白おかしく話す男子よりも私は大好きだ。
笑いすぎた涙目のまま、私はこの前の予鈴で途切れた会話の続きを彼に催促した。
「ねぇ君嶋くん、前回の話の続きを教えてよ」
その先をいくら考えても、私には答えが導き出せないでいた、彼の思考回路は他の男の子とは違う、それを早く聞きたくてウズウズしていた、
推理小説の謎解きの最中に読むのを中断せざるを得なかった時のように、話の途中で中途半端で終わってしまった彼のミステリアスな恋愛観が知りたくてしょうがなかったのだ。
「なんの話だっけ」
「ほら、3人の女の子に告白されても誰とも付き合わなかったっていう話」
「あぁ、そうだったね。僕にはその内の1人を選べないんだ、、」
「どうして?」
「もし白河さんが3人の内の1人で、僕に選ばれなかったらどう思うかな」
私を例えに出すなっ!
現実に起こりそうで怖い、
「そんなの悲しいに決まってるじゃない、でもそれが恋愛なんだから諦めるしかないでしょ」
「告白してフラれただけなら何処にでもある話さ、
でもそれが同時期に好きになった他の子と比べられて負けたとなれば受けるダメージが違うでしょ」



