「そっか、偉い」


「偉くねぇよ何も」


向こうからしたらやり捨てされたのと同じだな、と申し訳なさそうに言った。


よかった。


私と同じ道を選んでしまわなくて。


正しい道を選んでくれてよかった。


でもね、あなたはひとつ間違っていることがあるよ。


きっと、その女の子は可哀想なんかじゃない。


初恋を思い出して、あの時の私とその女の子に似ているものを感じた。


好きになってくれない人に抱かれる私を、可哀想だと思ったことなんてなかった。


好きになってくれなくても、その瞬間だけでも
私のことだけを見てくれているなら嬉しかった。


きっとその女の子も、似たような気持ちだったんじゃないかな。


もう二度とない機会を逃さないために、必死だったんじゃないかな。


関係を断られても仕方ないって、分かっていたんじゃないかな。