それは、父から受け取りたかった愛情を、私は他の人に求めるようになってしまったからなのだ。


かと言って父からの愛を全く感じていなかった訳でもない。


不器用で強がりな面を除けば、誰からも羨ましがられるような父だった。


仕事を2つ掛け持ちし、休みは週に一回有るか無いか。


睡眠時間は3時間ほどだったと思う。


そんな生活の中でも、休みの日には私たちのために時間を使ってくれた。


行きたい場所にも連れていってくれたし、欲しいものはサプライズで買ってきてくれたりもした。


私たちが高校生になっても学校行事に両親そろって来てくれた。


それらが容易いことでは無いと子どもながらに感じていたし、当然父に感謝していた。


ただその愛情が、えぐられた心を癒すほどのものではなかったのだ。


きっと望みすぎていた。


過度な愛情を求めてしまうほどに、私の心は脆かった。


異常な生活に陥ったことを父のせいにしながらも、本当は私の心の脆さが原因なのかもしれない。