神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜

すぐにコップに一杯の水と、ついでに体温計を持って戻った。

「大丈夫か?水、持ってきたから飲め」

「…済みません…」

「謝るなって」

さっきから、済みませんしか言ってないぞ。

体温計を渡し、熱を測りながら、レントはコップ半分ほど水を一気に飲んだ。

それでようやく、少しだけ気力が戻ったようだった。

「…済みません…。ありがとうございます…」

謝らなくて良いんだって。何回謝るんだお前は。

そんなことより。

「どうしたの?風邪?病気?」

「…風邪…だと思います。昨日の、夜から…背中がぞくぞくして…」

それは風邪だな。完全に風邪。

「それでも、朝はまだ…何とか元気だったから、学校に来て…。…でも、三時間目の授業の頃から途端に身体が熱くなってきて…」

一気に熱が上がったんだな。

「頭がふらふらして…気持ち悪くて…それで、授業を抜けて…」

…ここに来た、って訳か。

ぶっ倒れる前に、自分で助けを求めに来たのは良いことだ。

良いことだけど…。

そのとき、ぴぴぴ、と体温計が鳴った。

「ちょっと見せてくれる?」

「…はい…」

シルナが、レントから体温計を受け取ると。

シルナは驚愕のあまり、目を見開いていた。

「何度だ?」

「39度5分…!」

もう、今すぐ寝かさなきゃ駄目だ。

その熱で、よく教室からここまで、歩いて辿り着けたもんだよ。

四捨五入したら、もう40度じゃないか。

「何で、こんなに熱が上がるまで放っておいてんだ?」

今更責めても仕方ない、もっと悪化する前で良かった。そう思わなきゃならないことは分かってたけど。

どうしても、聞かずにはいられなかった。

何で、こんなになるまで我慢してしまったんだ?

具合が悪いことを黙っていて、こんなに悪化したんじゃ世話ないだろ。

「そうだよ。遠慮せず、すぐ保健室に行けば…」

と、シルナもそう言った。

具合が悪化してきたのは、三時間目だったんだろ?

その時点ですぐに保健室に行っていれば。

今頃、こんなに熱が上がることもなく、ゆっくり休めていただろうに。

何で無理をしてしまったんだ。

すると。

「保健室は…行ったんです。三時間目の後…四時間目になる前に…」

レントは、困ったような顔でそう言った。

…え?