「…やけに物分かりが良いな?」

もっと抵抗されると思ったのだが。

「言ったでしょう?私が消える条件は単純だって。君達に存在を求められていないなら、私がここに残る意味はない。潔く消えるよ」

そうか。

それなら、さっさとそうしてくれ。心変わりする前にな。

「…でも、きっと私以外の『オオカミ達』は、私のようには行かないと思うよ」

…何?

ドッペルゲンガーシルナは、消える前に、嫌な捨て台詞を吐いていった。

「君達子ヤギを惑わすオオカミは、全部で七匹。君達の数と同じだ」

「…」

『オオカミと七匹の子ヤギ』の、七匹って…そういう意味なのか。

「他の六匹は、きっと私ほど物分かりは良くない。…オリジナルの君達を、守り抜けると良いね?」

「…お前…」

なんとも不穏な、捨て台詞を残して。

ドッペルゲンガーシルナは、霧のように消えてしまった。