神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜

…すると。

「…ジュリスは、本当に優しいね」

「…あ?」

眠っていたはずのベリクリーデが、目を開けて、こちらを見ていた。

…いや。

こいつは、ベリクリーデじゃないな。

ベリクリーデを悩ませていた、件の別人格…。

…ベリーシュ・クルークスだ。

「…聞いてたのかよ、お前」

「ベリクリーデが見てるものや聞いてるものは、私も見てるし、聞いてるからね」

そうだったな。

小っ恥ずかしいから、聞くなよ。

「ベリクリーデのこと守ってくれて、ありがとう」

「…俺の為にやってることだ」

「知ってるよ。でも…ありがとう」

…そうかい。

そりゃどういたしまして。

「…これからもベリクリーデのこと、宜しくね」

やれやれ。

厄介な奴の面倒を頼まれたもんだ。

「…望むところだ、馬鹿」

…何の因果か、こんなに長く生きてしまった。

こうなったら…世界が滅びるまで、生きてやるよ。

そして世界が滅びるときは、ベリクリーデが滅びるときだ。

なら精々、俺が生きている限りは…。

…この孤独な神の器を、傍で支える者になろう。