神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜

俺はベリクリーデを連れて、ベリクリーデの部屋に移動した。

そして。

「ほら、ベリクリーデ。これ飲んでみろ」

「…?何?」

「ホットミルク。はちみつ入り」

眠れないときに飲む、定番の飲み物。

甘酒とかハーブティーとか、色々あるけど。

まずは、やっぱりホットミルクだよな。

月並みな方法かもしれないが、まずは身体を温めることで、入眠しやすくする作戦である。

「これを飲んだら眠れるの?」

「いや、睡眠薬じゃないからな…。ホットミルクだけで、あっという間に眠れる…ってことはないだろうが」
 
そんな魔法の薬は存在しない。

「あくまで気休めだな。まぁ、でもやらないよりはマシだろう」

「…そっか…」

ベリクリーデはこくりと頷いて、ホットミルクを啜った。

「これ美味しい」

「良かったな」

寝る前に甘い物は感心しない…と言われるかもしれないが。

まぁ、たまには良いだろう。

少なくとも、眠れないよりマシ。

すると。

「どうだ?…少しは眠れそうか?」

「うーん…。ちょっと横になってみるね」

「あぁ」

ぱふっ、と自分の枕に頭を乗せ、横になったかと思うと。

「…zzz…」

…一瞬で寝やがった。

あれ?今さっきまで、不眠症に苦しんでなかったっけ?

あれは何処に行ったんだよ。

ホットミルク作戦、いくらなんでも効果覿面過ぎる。

魔法の薬はないんじゃなかったのか。

「…えーっと…」

…ベリクリーデも寝たことだし、俺も帰るわ。