神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜

翌日の、朝。

「…ん…」

俺は、カーテンから差し込む朝日の眩しさに、目を覚ました。

…あれ。

…何時だ?今…。

珍しく、朝までぐっすり眠ってしまった。
 
最近、ベリクリーデのせいで、夜にちゃんと眠れないことが多かったし。

昨日は、俺の頭を悩ませていた詐欺師問題も、無事に解決したことから。

ホッとして、気が抜けて…ついぐっすり眠ってしまったのかもしれない。
 
しかし、よく寝たお陰で、頭がすっきりした。

やはり、睡眠は万病の薬だな。

「…さて、そろそろ起き…」

ベッドに手をついて、身体を起こそう…とした、そのとき。

シーツに触ったはずの手のひらに、むにゅっ、とした感触が伝わってきた。

…?

全く覚えのないその感触に、俺は愕然として振り向いた。

すると、そこには。

「…むにゃむにゃ…んん…。じゅりす〜…」

「はぁぁぁぁ!?」

はだけたパジャマを着たベリクリーデが、俺の横で眠っていた。

まだ夢の中にいるのではないか、と思った。

な、何でベリクリーデがここに…!?

いつの間に来てたんだ?

寝る前はいなかったぞ。

つーか、俺も俺だ。気づけよ!

余程ぐっすり眠っていたらしい。馬鹿か俺は。

いや、馬鹿はベリクリーデの方だ。

何でお前、こんな狭いベッドに侵入してきてるの?

そもそも、人様の寝室に勝手に入ってきて、勝手にベッドに入るなんて。

お前には、慎みとかそういうものはないのか。

ないよな。そうだな。

で、俺がさっき手のひらで掴んだ、あのむにゅっとした感触は…。

寝乱れて、捲れたパジャマから覗きかけている…。

ベリクリーデの、胸、

「…」

…いや、夢だな。今のはあれだ。うん。

何も起きなかった。

俺は何もしていない。ベリクリーデが悪い。

「お前、いつの間に…。起きろ!」

「んん〜…。じゅりす、そこ触っちゃらめ〜…」

「どういう夢を見てるんだよ!?気色悪いからやめろ!」

ベリクリーデの肩を揺さぶるが、ふにゃふにゃ言うばかりで、寝ぼけている。

こ、こいつ…。

…しかし。

本当の最悪の事態は、ここからだった。

部屋の扉が、こんこん、とノックされ。

俺は血の気が引いた。

「ジュリス隊長。おはようございます」

扉の向こうから聞こえてきたのは、俺の部下の声だった。

「なかなかいらっしゃらないので、心配で…。もしかして、体調が優れないのですか?」

俺が珍しく、なかなか起きてこないから。

何かあったのではと、様子を見に来てくれたらしい。

その気持ちは有り難いのだが。

…最悪のタイミングだ。