神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜

…と、そこまではまぁ良かったのだが。

「あーあ…。駄目だったかー。ツボは駄目なのかー…」

「…」

何故か、ちょっとしょんぼりしているベリクリーデである。

騙されていたことがショックだった…と言うよりは。

「ジュリスが元気出してくれると思ったのになぁ…」

「…」

俺に元気になって欲しい、という目論見が潰えたことが、ショックだった様子。

…何を思って、またそんなこと考えてたのか…。

「別に…ツボなんかなくても、俺は元気だぞ?」

そりゃ、残業に追われたりもしてたけど。

それだって毎日じゃないし。

むしろ、俺を元気にしたいなら、お前は何もしないでくれ。

それが一番、俺の精神的健康に良い。

「でも、私はもっと、ジュリスに幸せになって欲しいんだよ」

「…あ、そう…」

「元気になって欲しいの。どうしたら良い?」

…どうしたら、って…。

そうだな。

まずは、深夜に俺のもとを訪ねてきて…眠りを妨げるのをよしてもらおうか。

そこから始めてくれないか。

…と、面と向かって言うのは気の毒なので。

「別に、何もしなくて良いよ。今のままで、俺は充分満足してるから」

「…そっか…」

身の丈に合わない幸福は、求めない主義でね。

毎日幸せ過ぎるより、何かしら愚痴と不満を溢しながら、「やれやれ」と生きるくらいが、人生丁度良い。

そういうもんだ。

…まぁ、ベリクリーデがもうちょっと、自分の書類仕事を自分でやってくれたら、俺は大助かりなのだが。

ベリクリーデの奴は、字も下手だし、文章も下手くそだからなぁ。

やれやれと思いながら、ボチボチやっていくよ。

しかし。

「…」

ベリクリーデは、まだ納得が行っていない様子だった。