神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜

翌日。

…俺はこの数日間で、学んだことがある。

ここ最近、しょっちゅうベリクリーデに夜間侵入されては、眠りを妨げられ。

昨日なんて、俺、床で眠らされたからな。

それなのに、朝起きて、床で寝ていた俺を見たベリクリーデの一言は、

「何で床で寝るの?一緒に寝れば良かったのに」だったからな。

一緒に寝られる訳ないだろ。何考えてんだ。

この部屋のベッドは、ダブルベッドではない。

小さなシングルベッドに、二人で寝ようと思ったら、当然身体を密着させないといけない訳で…。

…言うまでもなく、言い訳のしようのない誤解が生まれかねない訳だ。

絶対嫌だ。

それなら、床で寝た方がマシだっての。

そこで、俺は考えた。

問題は、俺がベリクリーデを甘やかしているせいではないか、と。

いや、それはもう、ずっと前からそうなんだけど。

俺がベリクリーデの勝手を許しているから、奴も調子に乗って、連日俺のもとを訪ねてくるんだよ。

遊びに来ようが何しに来ようが、毅然とした態度で。

「お前と遊んでいる暇はない。帰れ」と、門前払いすれば良い。

何だかんだ部屋に入れてやるから、朝まで居着かれることになるんだよ。

案の定最近、「ジュリス隊長とベリクリーデ隊長が同衾している」などという、おぞましい噂が流れていた。

エリュティア。流したのはお前じゃないよな?

ともかく、このような噂が流れるのは、非常に不本意。

かつ、不健全である。

ここいらで、真実をハッキリさせておくとしよう。

俺は何も疚しいことはしていないし、むしろ毎晩ベリクリーデに突撃されて、迷惑しているのだということを。

他の奴らにも教えてやるよ。

…そういう訳なので。

「今夜訪ねてきても…絶対叩き出してやるからな」

堅い覚悟を持って、毅然としてベリクリーデに臨むとしよう。






…すると、その晩。

案の定、奴はやって来た。

「ジュリスー、よいしょ。来たよ、よいしょ。遊ぼう。よいしょ」

「…」

…毅然として追い払う…そのつもりだったのだけど。

やって来たベリクリーデの姿を見て、俺は思わず追い返すのを忘れてしまった。