神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜

…で、更にその翌日。

…の、夜。
 
「…良いこと思いついた」

俺は部屋の中で、一人呟いた。

ここ最近、しょっちゅうベリクリーデに侵入され。

奴がここで寝るせいで、俺は自分の部屋なのに眠ることが出来ないという、非常に理不尽な目に遭わされている。

この状況を打開する為に、どうしたら良いのか。

思いついた。

「…先に寝よう」

俺が起きてるから、ベリクリーデが勝手に入ってきて、遊びに付き合わされるんだ。

ベリクリーデがやって来ようとも、部屋の灯りを消して「俺もう寝てるから」と言えば。

ベリクリーデを撃退出来るのでは?

よし、そうしよう。

大体俺、昨日朝までオールだったせいで、凄い眠いんだよ、今。

今夜は残業もないし、ちょっと早めに寝ても良いだろう。

そんな訳で、俺は早々にジャージに着替え、部屋の灯りを消し、ベッドに横になった。

はぁ、ホッと一息…。

俺はベリクリーデほど、寝付きが良い訳じゃないが。

目を閉じて、夢の世界に行こう…。

…と、したそのとき。

「ジュリスー。遊んでー」

案の定。

案の定、ベリクリーデは俺の部屋を訪ねてきた。

ほらな、言わんこっちゃない。

だが、今日はお前の思い通りには行かないぞ。

「あれ?ジュリス、電気消してどうしたの?」

どうしたの、じゃねぇよ。

寝てんだよ。夜だからな。

「しかも、ベッドに横になって…。何かあったの?」

「…何もねぇよ。寝てるんだよ。見ての通りな」

「何か落ち込むことでもあった?」

だから、何もないって。

俺がちょっと早く寝てたら、これだよ。

「ジュリス、可哀想。私が慰めてあげるね。よしよし」

と言って、ベリクリーデは俺の頭を撫でていた。

…何やってるんだよ…。何も落ち込んでねぇよ。

「慰めなくて良いから、お前は自分の部屋に帰れ」

「誰かにいじめられたの?」

「誰にもいじめられてねぇよ」

「ジュリスをいじめるような悪い人は、私がお星様にしてあげるから、安心して」

何も安心出来ねぇし、物騒だからやめてくれ。

「あのな、ベリクリーデ。俺、別に落ち込んでる訳じゃないから。早くかえっ…」

「よし、分かった」

「…何が?」

ベリクリーデは、名案を思いついたとばかりに、ポンと手を叩いた。

…ろくでもないことを思いついた予感。

「ベッドで慰めてあげる。だから元気出して」

と言って、ベリクリーデはあろうことか、ベッドに入ってこようとした。

「はぁぁ!?」

俺は慌てて飛び起き、それを阻止した。