神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜

「よし、もう良いぞ」

「ふー」

俺は急いで着替え、脱いだばかりの制服を畳んだ。

やれやれ。

「あ、ジュリスみーっけ」

「はいはい」

見っけも何も、ずっとここにいたよ。

…で、それはともかく。

「今日は何をしに来たんだ?何度も言ってるが、もう寝る時間だろ」

「うん、でも眠れなくって」

いや、それは嘘だろ。

一瞬で寝てたよ、お前。

「だから、ジュリスと遊ぼうと思って」

「そうか…。お前はそのつもりかもしれないが、俺はこれから寝るんだよ。邪魔だから帰ってくれないか」

疲れてんだよ、俺。さっきまで任務でさぁ。

今夜もオールなんて、遠慮したいんだが?

「でも私、今日も、楽しい遊びを考えてきたんだよ?」

楽しい遊び?

「何だよ。また野球か?」

「うん、野球」

まだ諦めてなかったのか。

「しかも、ただの野球じゃないんだよ」

「あ…?」

「二人でも出来る野球があるんだって」

二人でも出来る野球…?

やっぱり野球盤か?

あれ、久し振りにやると結構ハマるよな。

何なら、本物の野球より白熱してしまうかもしれない。

しかし、ベリクリーデの言う「野球」は、もっと危険度が高かった。

「野球拳やろう」

「却下」

何を言い出すんだお前は。

噴き出すかと思っただろうが。

「何で?二人でも出来るよ?」

出来るけど。そりゃ確かに出来るけども。

やるかどうかは、また別の話だろ。

「アホか。お前野球拳が何だか知ってるのか?」

「知ってるよ。踊りながらお互いの服を脱がせっこするんでしょ?」

非常に危険な香り。

犯罪一歩手前の匂いがする。

危ねぇよ、マジで。

「普通の野球より簡単だと思って。やろー」

普通の野球が出来ないからって、野球拳で代用してる奴、初めて見た。

言葉は似ていても、中身は全く違うものだろ。
 
お前はそれで満足なのか?

「却下だ」

何が嬉しくて、お前の脱衣シーンを見なきゃならないんだ。

大体、朝起こしに行ったときに、しょっちゅう見せられてるわ。

「俺は人に脱衣シーンを見せる趣味はない」

「…どうしても駄目なの?」

「当たり前だ」

駄目に決まってるだろ。

むしろ、何で行けると思ったんだよ。

「もっと健全な遊びにしろ。いや、そもそも遊ぶな。夜なんだから、大人しくし寝ろ」

「しょうがないなぁ…分かった。寝るね」

ばふっ、とそのまま横になるベリクリーデ。

「おい、寝ろとは言ったけど、ここで寝ろとは言ってねぇよ!」

「…zzz…」

ベリクリーデ、またしても即寝。

「…はぁっ…」

俺は特大の溜め息をついて、天を仰いだのだった。