神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜

…そんなことがあった、二日後。

…の、夜。

今日は、夕方から単独任務が入っていたので。

自分の部屋に帰ってきた頃には、すっかり外は暗くなっていた。

「…さて、まずは着替えるか…」

制服から着替える為に、俺はクローゼットを開いた。

全く、聖魔騎士団も人遣いが荒いよなぁ。

別に良いけどさ。

それに見合った報酬は、ちゃんと受け取ってるし。

…しかし、報酬に関して言えば、実は長いこと不満を抱いている。

聖魔騎士団は、夜間手当も、残業代も支給してくれるホワイト企業だが。

「ベリクリーデの世話代」だけは、一向に支払われない。

それとも、奴の世話代は元々、俺の給料に含まれていると?

冗談じゃねぇぞ、全く。

そろそろ、本気でベリクリーデの世話代を要求してやろうか…と。

そう思っていた、そのとき。

「じゅーりす。遊ぼー」

「…また来やがった…」

勿論、ノックの一つもせず。

勿論、またパジャマ姿で。

勿論、いつもの小学生のノリで。

自分の部屋に入るかのように、平気で入ってきやがった。

…制服、脱ぐ前で良かった。

いよいよもって、言い訳の出来ない誤解が生まれるところだった。

「…何しに来たんだ?ベリクリーデ…」

「あれ?ジュリスまだ制服着てたの?」

俺の質問に答えろよ。

「まぁな。今日は夕方から任務があったから。帰ってきたの、ついさっきなんだ」

「そっかー。お疲れ様」

そりゃどうも。

誰であれ、労ってもらって悪い気はしない。

…それはそれとして。

「…お前、ちょっと外に出てろ」

「え、何で?」

「何でじゃなくて。着替えるから出てろってこと」

ベリクリーデがいたんじゃ、きがえることも出来ない。

ちょっとの間、部屋の外に出ててくれ。

何なら、そのまま自分の部屋に帰っても良いんだぞ。

しかし。

「…??何で、着替えるのに私が出て行くの?」

いや、何でって。お前な。

そりゃお前は、俺が目の前で見てようが、平気でパジャマ脱ぎ捨てるけどさ。

俺にはそういう趣味はないから。

そして、あらぬ誤解を生むようなことはしない主義だから。

「良いから、外に出てろって」

「外寒いよ。風邪引いちゃう」

「あー、くそ。…分かったよ」

じゃあ、こうしよう。

俺はベリクリーデの頭から、毛布を被せた。

「よし、そのままでいろよ。顔を上げるな。そのまま俺が良いと言うまで、毛布を取るなよ」

目隠し代わりだ。これでまぁ…最低限のみプライバシーは守られるだろう。

「おぉ、何だかかくれんぼみたいだね」

「そうそう、かくれんぼかくれんぼ。そのまま隠れてろよ」

「わーい。もーいーかい」

「まだだよ」

ベリクリーデが単純な奴で助かった。

ちょっと、そのまま大人しくしててくれ。