…と、いう話を。

時間をかけて、長々とここまで語ってきたんだが…。

俺にそんな話をするようにせがんできた、当のベリクリーデは。

「…zzz…」

「…」

ぐっすりと、夢の中。

…失礼過ぎないか?

お前だろ?先に「聞きたい」って言ったの。

そりゃ俺だって、長々と昔話して悪かったけどさ。

だからって、寝るか?話の途中で。

俺の、ただの独り言みたいじゃん。

ちなみにこいつ、半分も聞いてなかったからな。

俺がユリヴェーナと共に、初めて秘境の村に入った…って話をしている辺りで、既に寝てた。

それなのに最後まで話すなんて、俺はなんてお人好しなんだ。

話の途中で何度か馬鹿馬鹿しくなって、中断しようかと思ったんだが。

もしかしたら目ぇ覚ますかもしれないから、一応最後まで喋ってみた。

が、やっぱりやめておけば良かった。

俺の昔話を子守唄代わりに、熟睡していらっしゃる。

まぁ別に良いけどさ。

こんな昔話、誰の為にもならないんだから。

せめて、ベリクリーデの子守唄代わりになったんたら、役に立ったと思おう。

「あのな、ベリクリーデ。寝るのは良いが、自分の部屋で。自分の部屋に帰ってから寝…」

「…ほぇ?」

「あ、起きた」

今起きんのかい。

ベリクリーデはぽやんとした寝惚け顔で、こちらを見つめた。

…ほんと間抜けな顔だよ。

「…?ジュリス、お話終わった?」

「…終わったよ」

「そっかー」

聞いてたのか?

寝てたようにしか見えないが。

「じゃあ、もう夜も遅いし、寝よっか」

何が「じゃあ」なんだ?

長話をしてしまったせいで、時刻は既に深夜12時。

俺も、そろそろ眠くなってきたところだが…。

「ふー、抱き枕欲しいなー」

そう言って、ベリクリーデは俺のベッドに、ぽふっ、と横たわった。

「おい。何でここで寝るんだよ」

自分の部屋に帰ってから寝ろと、何度言ったら…。

「ジュリス、今度抱き枕が欲しいな。お肉の…」

「肉…!?そんなのあるのか…?」

「…zzz…」

…寝てるし。

お前、抱き枕なんて要らないじゃん。

「…はぁ、やれやれ…」

…全く困ったもんだ。ベリクリーデには…。

何だって、俺がこいつの面倒を見なきゃならないんだか…。

…って、言っても今更なんだけど…。