シャツの下、ユリヴェーナの身体を見て…俺は息が止まる思いだった。
既にユリヴェーナは、魔剣から手を離している。
それなのに、ユリヴェーナの上半身は、赤黒い痣が一面に広がっていた。
今ではその痣が、首元にまで滲出していた。
「…お前…その痣…」
「…もう、当分前からこうだよ。誰にも見せていなかったが…」
…そんな…。
「関係ないんだ。今となってはもう…魔剣を手放そうと、僕の運命は変わらない。ここまで浸食されていれば…。僕の未来は、遠からず尽きる」
「…」
「皆と同じ未来を生きられないなら…。せめて僕は、皆の未来を守りたいんだ。この命をとして…」
「…何で、そこまで…」
そこまでして…自分の身を犠牲にしてまで…。
そうまでして、守る価値のあるものなのか?お前の故郷は。
その為に死んでも良いと思えるほどに?
「…命をかけて守るという行為が、無意味であるはずがないんだよ、ジュリス」
ユリヴェーナは俺の考えを読んだかのように、そう言った。
「例えそれが、他人にとってどうでも良い…つまらない、路傍の石ころだとしても…その石ころを守る為に、命をかけて戦うなら…それは無意味なんかじゃない」
「…」
「…その石ころが、もしかしたら、未来の為に何か役立つかもしれない…。無意味であろうはずがないんだ。馬鹿馬鹿しいように思えたとしても…」
「…そうかよ」
そんな覚悟で、お前は…。
…そんな覚悟で、戦ってきたんだな。
だったら、どうして俺が止められようか。
これほど強い意志と覚悟を持って、自分の死と向き合おうとしている人間を。
どうして、俺ごときの言葉で止められようか。
「分かった…。お前の望むようにすれば良い。…もう止めない…」
「…ありがとう、ジュリス」
一度きりの人生を、お前が後悔しないように。
自分の命をどうか、精一杯生きてくれ。
「…村に帰ろう」
「あぁ、そうだな」
俺はユリヴェーナに肩を貸し、彼女を立ち上がらせた。
それだけでも辛いのか、ユリヴェーナは顔をしかめていた。
…すると。
「…一つ、頼み事をしても良いか?」
と、ユリヴェーナは言った。
「一つどころか、結構頼み事されてる気がするけどな」
剣術を教えてくれとか、村人を守ってくれとか。
「そうだったな…。じゃあ、駄目か?」
「…まぁ、言うだけなら言ってみろよ」
気が向けば、聞いてやるかもしれない。
すると、ユリヴェーナは俺が予想だにしない頼み事をした。
「…もし、私の身に万が一のことがあったら…そのときは、君が『魔剣ティルフィング』をもらってくれないか」
「…!」
…さぁ。
これでもう、分かっただろう?
今の俺が、どうしてこの魔剣を手にしているのか。
…つまりは、そういうことだ。
既にユリヴェーナは、魔剣から手を離している。
それなのに、ユリヴェーナの上半身は、赤黒い痣が一面に広がっていた。
今ではその痣が、首元にまで滲出していた。
「…お前…その痣…」
「…もう、当分前からこうだよ。誰にも見せていなかったが…」
…そんな…。
「関係ないんだ。今となってはもう…魔剣を手放そうと、僕の運命は変わらない。ここまで浸食されていれば…。僕の未来は、遠からず尽きる」
「…」
「皆と同じ未来を生きられないなら…。せめて僕は、皆の未来を守りたいんだ。この命をとして…」
「…何で、そこまで…」
そこまでして…自分の身を犠牲にしてまで…。
そうまでして、守る価値のあるものなのか?お前の故郷は。
その為に死んでも良いと思えるほどに?
「…命をかけて守るという行為が、無意味であるはずがないんだよ、ジュリス」
ユリヴェーナは俺の考えを読んだかのように、そう言った。
「例えそれが、他人にとってどうでも良い…つまらない、路傍の石ころだとしても…その石ころを守る為に、命をかけて戦うなら…それは無意味なんかじゃない」
「…」
「…その石ころが、もしかしたら、未来の為に何か役立つかもしれない…。無意味であろうはずがないんだ。馬鹿馬鹿しいように思えたとしても…」
「…そうかよ」
そんな覚悟で、お前は…。
…そんな覚悟で、戦ってきたんだな。
だったら、どうして俺が止められようか。
これほど強い意志と覚悟を持って、自分の死と向き合おうとしている人間を。
どうして、俺ごときの言葉で止められようか。
「分かった…。お前の望むようにすれば良い。…もう止めない…」
「…ありがとう、ジュリス」
一度きりの人生を、お前が後悔しないように。
自分の命をどうか、精一杯生きてくれ。
「…村に帰ろう」
「あぁ、そうだな」
俺はユリヴェーナに肩を貸し、彼女を立ち上がらせた。
それだけでも辛いのか、ユリヴェーナは顔をしかめていた。
…すると。
「…一つ、頼み事をしても良いか?」
と、ユリヴェーナは言った。
「一つどころか、結構頼み事されてる気がするけどな」
剣術を教えてくれとか、村人を守ってくれとか。
「そうだったな…。じゃあ、駄目か?」
「…まぁ、言うだけなら言ってみろよ」
気が向けば、聞いてやるかもしれない。
すると、ユリヴェーナは俺が予想だにしない頼み事をした。
「…もし、私の身に万が一のことがあったら…そのときは、君が『魔剣ティルフィング』をもらってくれないか」
「…!」
…さぁ。
これでもう、分かっただろう?
今の俺が、どうしてこの魔剣を手にしているのか。
…つまりは、そういうことだ。


