良かった。生きていた。
「ユリヴェーナ…!こんなところに、」
声のした方に走り、ユリヴェーナに手を差し伸べよう…と、したが。
俺はユリヴェーナの姿を見て、愕然とした。
ユリヴェーナは泥だらけの姿で、地面に倒れ伏していた。
血の気が引いた顔は青ざめ、呼吸も浅く、今にも、死…。
「ユリヴェーナ…お前…」
「ふ、ふふ…。僕としたことが、恥ずかしい姿を見せてしまったな…」
「…笑ってる場合かよ」
俺はユリヴェーナの手から、魔剣を引ったくった。
これが全ての原因だ。
『魔剣ティルフィング』の持つ闇の魔力が、ユリヴェーナの身体を蝕んでいる。
長時間魔剣の力を行使した代償に…ユリヴェーナは、文字通り死にかけていた。
「ジュリス…。村人は…?皆は無事か…」
しかも、自分がこんな姿になっているというのに。
まず心配するのは、自分じゃなくて他人のこと。
「無事だよ、一応な…。怪我をした人間は、全員治療した」
「…良かった…。ありがとう、皆を守ってくれて…」
「…」
皆は守れたのかもしれないが、お前は守られていないだろう。
俺は黙って、ユリヴェーナに回復魔法をかけた。
消耗した魔力の回復を促し、疲労を軽減する為の回復魔法だ。
ユリヴェーナの身体を侵蝕している、闇の魔力を取り除くことは出来ないが。
これで、気休めくらいにはなるだろう。
「済まない…。少し楽になった…」
「…そんなことは良い」
魔力の使い方を覚え、剣術の腕を上げれば…なんて。
そんな悠長なことを言ってる場合じゃないのだと分かった。
よく分かったよ。
「お前は、もう…『魔剣ティルフィング』を使うな」
これが、一番の解決法だ。
死にかけてるじゃないかよ、お前。
今回だって、もう死んでもおかしくなかったんだぞ。
戦闘がもう少し…あと一時間、いや、あと30分でも長く続いていたら。
今頃ここに横たわっているのは、ユリヴェーナの死体だったはずだ。
「お前は英雄なんかじゃない。お前の身体は、これ以上魔剣に耐えられない」
「…」
「もう充分だろ。もう充分…お前は正義を行った。村人に事情を話して、これ以上魔剣を使わないで済むように…」
「…それは出来ない」
ユリヴェーナは、静かに首を横に振った。
「僕は皆にとって、希望の星なんだ…。皆が絶望せずにいられるのは、僕が魔剣を手にしているから…」
「…」
「皆が新天地に辿り着き、秘境の村を再興するまで…それまで持てば良い。皆が新しい生活を始めるまで…」
…何を言ってるんだ、お前は。
「その前に、お前は死ぬんだぞ」
お前が魔剣の力を使うことで、村人達の命は助かるかもしれない。
秘境の村は新天地に移住して、滅ぼされることなく存続するかもしれない。
村人達は新しい場所で、新しい生活を始め、新しい文化を育てていくのだろう。
それは村人達にとって、希望に満ちた未来なのだろう。
…でも。
その未来の中に、お前は存在していないんだぞ。
そんな未来、クソ食らえだろう。
「死んだら、何の意味もないんだぞ…」
お前が守る未来に、お前がいないんじゃ…意味がないだろう。
何をおいても、まず生きていなければ。
生きていれば再興の機会はあるが、死んだら全て終わりなんだ。
…それなのに。
「…意味ならあるさ」
ユリヴェーナはそう言って起き上がり、シャツのボタンを外し、自分の胸元の見せた。
「ユリヴェーナ…!こんなところに、」
声のした方に走り、ユリヴェーナに手を差し伸べよう…と、したが。
俺はユリヴェーナの姿を見て、愕然とした。
ユリヴェーナは泥だらけの姿で、地面に倒れ伏していた。
血の気が引いた顔は青ざめ、呼吸も浅く、今にも、死…。
「ユリヴェーナ…お前…」
「ふ、ふふ…。僕としたことが、恥ずかしい姿を見せてしまったな…」
「…笑ってる場合かよ」
俺はユリヴェーナの手から、魔剣を引ったくった。
これが全ての原因だ。
『魔剣ティルフィング』の持つ闇の魔力が、ユリヴェーナの身体を蝕んでいる。
長時間魔剣の力を行使した代償に…ユリヴェーナは、文字通り死にかけていた。
「ジュリス…。村人は…?皆は無事か…」
しかも、自分がこんな姿になっているというのに。
まず心配するのは、自分じゃなくて他人のこと。
「無事だよ、一応な…。怪我をした人間は、全員治療した」
「…良かった…。ありがとう、皆を守ってくれて…」
「…」
皆は守れたのかもしれないが、お前は守られていないだろう。
俺は黙って、ユリヴェーナに回復魔法をかけた。
消耗した魔力の回復を促し、疲労を軽減する為の回復魔法だ。
ユリヴェーナの身体を侵蝕している、闇の魔力を取り除くことは出来ないが。
これで、気休めくらいにはなるだろう。
「済まない…。少し楽になった…」
「…そんなことは良い」
魔力の使い方を覚え、剣術の腕を上げれば…なんて。
そんな悠長なことを言ってる場合じゃないのだと分かった。
よく分かったよ。
「お前は、もう…『魔剣ティルフィング』を使うな」
これが、一番の解決法だ。
死にかけてるじゃないかよ、お前。
今回だって、もう死んでもおかしくなかったんだぞ。
戦闘がもう少し…あと一時間、いや、あと30分でも長く続いていたら。
今頃ここに横たわっているのは、ユリヴェーナの死体だったはずだ。
「お前は英雄なんかじゃない。お前の身体は、これ以上魔剣に耐えられない」
「…」
「もう充分だろ。もう充分…お前は正義を行った。村人に事情を話して、これ以上魔剣を使わないで済むように…」
「…それは出来ない」
ユリヴェーナは、静かに首を横に振った。
「僕は皆にとって、希望の星なんだ…。皆が絶望せずにいられるのは、僕が魔剣を手にしているから…」
「…」
「皆が新天地に辿り着き、秘境の村を再興するまで…それまで持てば良い。皆が新しい生活を始めるまで…」
…何を言ってるんだ、お前は。
「その前に、お前は死ぬんだぞ」
お前が魔剣の力を使うことで、村人達の命は助かるかもしれない。
秘境の村は新天地に移住して、滅ぼされることなく存続するかもしれない。
村人達は新しい場所で、新しい生活を始め、新しい文化を育てていくのだろう。
それは村人達にとって、希望に満ちた未来なのだろう。
…でも。
その未来の中に、お前は存在していないんだぞ。
そんな未来、クソ食らえだろう。
「死んだら、何の意味もないんだぞ…」
お前が守る未来に、お前がいないんじゃ…意味がないだろう。
何をおいても、まず生きていなければ。
生きていれば再興の機会はあるが、死んだら全て終わりなんだ。
…それなのに。
「…意味ならあるさ」
ユリヴェーナはそう言って起き上がり、シャツのボタンを外し、自分の胸元の見せた。


