…一体、どれだけ時間が過ぎただろう?
体感時間としては、もう丸2日くらい過ぎたような気がしているが。
多分、まだ数時間しか経っていないはずだ。
その数時間の間で、秘境の村の様相は大きく変わっていた。
「…酷いもんだな」
破壊の限りを尽くされた村の中を見て、俺は思わずそう呟いた。
ユリヴェーナに頼まれてから、俺は怪我をした村人を片っ端から治療して回った。
村の中心にある広場を拠点に、助けを求めて避難してくる村人達を守った。
余所者だと言われ、熊手を向けられるほど嫌われていた俺だが、今回ばかりは、頼れる存在だと思われたのか。
助けてくれ、と縋られたり、疑って悪かったと謝ってくる者もいた。
それは結構だが、礼を言うなら、俺じゃなくてユリヴェーナにしてくれ。
お前達を守ることを望んだのは、ユリヴェーナなのだから。
彼女に頼まれなかったら、こんなことはしなかっただろう。
…それよりも。
「…あいつ、何処だ…?」
怪我人の治療が一段落して、いつの間にか戦闘音も止んでいた。
先程まで、村全体にピリピリとした緊張感が広がっていたものだが。
今は、それが嘘のように静まり返っている。
政府軍が退却したのだろう。
ひとまず、今回の襲撃は終わったらしい。
無事に終わった…とは言い難い被害が出ているが。
それより、俺が気にしていたのは…。
「ユリヴェーナは何処だ?」
俺は、手近にいた村人の青年に尋ねた。
焼け落ちた家々を見て、呆けたようにボーッとしていた青年だったが。
かろうじて少し顔を上げ。
「ユリヴェーナ様は…森の奥で戦っておられました。今は何処にいるか…」
「…そうか」
村人を巻き込まない為に、わざと森の奥に政府軍を誘導したらしい。
…もう戦闘は終わっているはずなのに、ユリヴェーナは帰ってこない。
…嫌な予感がする。
「旅人の方、どうかユリヴェーナ様を…」
「分かってる…。探してくる」
俺は杖を握り締めて、立ち上がった。
村人達は疲弊して、それどころじゃないだろうから。
俺が代わりに、ユリヴェーナを探してこよう。
何処かにいるはずだ。
「必ず連れ戻す。少し待っててくれ…」
そう言い残して、俺は一人、村の外れに向かった。
ここ一帯が、最も激しい戦闘が行われていたらしい。
土地は焼け、木々は焼け、燻った匂いが辺り一帯に立ち込めていた。
煙が目に滲みて、思わず涙が出そうになる。
「ユリヴェーナ…。ユリヴェーナ、何処だ!?返事をしろ!」
俺は森の中に入って、大声を出してユリヴェーナを呼んだ。
近くにいるなら、返事をするはずだ。
あまり、大声を出さない方が良いことは分かっていた。
もし政府軍の残党が潜んでいたら、格好の的だからだ。
しかし、俺は構わなかった。
「ユリヴェーナ!何処に…」
と、俺が叫びかけた、そのとき。
「…じゅ、りす…。ここだ…」
枯れた老人のような声が、微かに俺の耳に届いた。
体感時間としては、もう丸2日くらい過ぎたような気がしているが。
多分、まだ数時間しか経っていないはずだ。
その数時間の間で、秘境の村の様相は大きく変わっていた。
「…酷いもんだな」
破壊の限りを尽くされた村の中を見て、俺は思わずそう呟いた。
ユリヴェーナに頼まれてから、俺は怪我をした村人を片っ端から治療して回った。
村の中心にある広場を拠点に、助けを求めて避難してくる村人達を守った。
余所者だと言われ、熊手を向けられるほど嫌われていた俺だが、今回ばかりは、頼れる存在だと思われたのか。
助けてくれ、と縋られたり、疑って悪かったと謝ってくる者もいた。
それは結構だが、礼を言うなら、俺じゃなくてユリヴェーナにしてくれ。
お前達を守ることを望んだのは、ユリヴェーナなのだから。
彼女に頼まれなかったら、こんなことはしなかっただろう。
…それよりも。
「…あいつ、何処だ…?」
怪我人の治療が一段落して、いつの間にか戦闘音も止んでいた。
先程まで、村全体にピリピリとした緊張感が広がっていたものだが。
今は、それが嘘のように静まり返っている。
政府軍が退却したのだろう。
ひとまず、今回の襲撃は終わったらしい。
無事に終わった…とは言い難い被害が出ているが。
それより、俺が気にしていたのは…。
「ユリヴェーナは何処だ?」
俺は、手近にいた村人の青年に尋ねた。
焼け落ちた家々を見て、呆けたようにボーッとしていた青年だったが。
かろうじて少し顔を上げ。
「ユリヴェーナ様は…森の奥で戦っておられました。今は何処にいるか…」
「…そうか」
村人を巻き込まない為に、わざと森の奥に政府軍を誘導したらしい。
…もう戦闘は終わっているはずなのに、ユリヴェーナは帰ってこない。
…嫌な予感がする。
「旅人の方、どうかユリヴェーナ様を…」
「分かってる…。探してくる」
俺は杖を握り締めて、立ち上がった。
村人達は疲弊して、それどころじゃないだろうから。
俺が代わりに、ユリヴェーナを探してこよう。
何処かにいるはずだ。
「必ず連れ戻す。少し待っててくれ…」
そう言い残して、俺は一人、村の外れに向かった。
ここ一帯が、最も激しい戦闘が行われていたらしい。
土地は焼け、木々は焼け、燻った匂いが辺り一帯に立ち込めていた。
煙が目に滲みて、思わず涙が出そうになる。
「ユリヴェーナ…。ユリヴェーナ、何処だ!?返事をしろ!」
俺は森の中に入って、大声を出してユリヴェーナを呼んだ。
近くにいるなら、返事をするはずだ。
あまり、大声を出さない方が良いことは分かっていた。
もし政府軍の残党が潜んでいたら、格好の的だからだ。
しかし、俺は構わなかった。
「ユリヴェーナ!何処に…」
と、俺が叫びかけた、そのとき。
「…じゅ、りす…。ここだ…」
枯れた老人のような声が、微かに俺の耳に届いた。


