ユリヴェーナは、村の外れにいた。
大勢の政府軍に取り囲まれ、小銃や大砲の銃口を向けられていた。
絶体絶命の危機…のように見えるが。
「…卑劣な侵略者共め。正義の名のもとに…お前達に裁きを与えてくれる!」
圧倒的に不利な状況だというのに、ユリヴェーナは少しも怯まなかった。
そして…彼女は、黒い刀身の剣を高く掲げた。
お得意の、『魔剣ティルフィング』である。
「ぐっ…。…くっ…」
魔剣の力を行使すると同時に、ユリヴェーナは苦しそうに顔をしかめた。
彼女の身体に、例の、蛇のような黒い痣が広がった。
…気のせいだろうか。
前に見たときより、痣がより濃く、そして広がっているように見えた。
「…正義の力を思い知れ…!」
苦悶の表情を浮かべつつ、ユリヴェーナは魔剣を振るった。
政府軍の兵士達は、魔剣の凄まじい威力を前に、手も足も出なかった。
「っ、奇怪な力を使う、魔女め…!」
魔剣に斬られて倒れた兵士が、末期の叫びとばかりに罵った。
…魔女、魔女ね。
誰よりも故郷のことを思い、仲間を守る為に我が身を犠牲にしている女が、魔女か。
…報われないな。
「…はぁ…はぁ…」
「おい、ユリヴェーナ…」
俺は、魔剣を構えるユリヴェーナに声をかけた。
彼女はちらりと俺を見て、険しい表情を少しだけ緩めた。
「ジュリスか…」
「…俺も…俺も、手伝い…」
彼女を取り囲んでいた政府軍の一陣は、無事に撃退した。
しかし、政府軍はまだまだ余力を残している。
恐らく、この後第二陣、第三陣が控えているはずだ。
その数の敵を、ユリヴェーナは一人で捌き切れるのか…?
…だが、ユリヴェーナは俺の予想に反してこう言った。
「良かった。ジュリス、頼む。怪我をした者を助けてくれ」
…何?
一緒に戦ってくれ、ではなく。
ユリヴェーナは、負傷した村人達を助けてやってくれ、と頼んだ。
「いや、でも、お前一人じゃ…」
「ここは問題ない…。僕に任せてくれ」
脂汗かいてるのに、何が問題ないものか。
しかし、ユリヴェーナの決意は変わらなかった。
「政府軍は僕が追い返すから。ジュリスは、後ろで村人達を癒やしてやって欲しい。頼む」
「…」
「僕を手伝いたいと思ってくれるなら、頼むからそうして欲しい…」
「…分かったよ」
そこまで言うなら、引き受けよう。
…だが、これだけは言っておく。
「…死ぬなよ、ユリヴェーナ」
後味の悪い思いをするのは御免だ。
やっぱり一緒に戦っておけば良かった、なんてことになるのは。
ユリヴェーナは、相反する魔力に苦しみながらも…ふっと微笑んでみせた。
「大丈夫だ。僕は死なない」
…そうかい。
「信じて良いんだな?」
「あぁ、信じてくれ。また後で会おう」
「…分かった」
それなら、お前の望むようにしてやるよ。
余所者に助けられるなんて、村人達は望んでないかもしれないがな。
しかしユリヴェーナの頼みなら、例え余計なお世話だったとしても、村人達を助けるとしよう。
俺はユリヴェーナを置いて、村の中心に向かって走った。
大勢の政府軍に取り囲まれ、小銃や大砲の銃口を向けられていた。
絶体絶命の危機…のように見えるが。
「…卑劣な侵略者共め。正義の名のもとに…お前達に裁きを与えてくれる!」
圧倒的に不利な状況だというのに、ユリヴェーナは少しも怯まなかった。
そして…彼女は、黒い刀身の剣を高く掲げた。
お得意の、『魔剣ティルフィング』である。
「ぐっ…。…くっ…」
魔剣の力を行使すると同時に、ユリヴェーナは苦しそうに顔をしかめた。
彼女の身体に、例の、蛇のような黒い痣が広がった。
…気のせいだろうか。
前に見たときより、痣がより濃く、そして広がっているように見えた。
「…正義の力を思い知れ…!」
苦悶の表情を浮かべつつ、ユリヴェーナは魔剣を振るった。
政府軍の兵士達は、魔剣の凄まじい威力を前に、手も足も出なかった。
「っ、奇怪な力を使う、魔女め…!」
魔剣に斬られて倒れた兵士が、末期の叫びとばかりに罵った。
…魔女、魔女ね。
誰よりも故郷のことを思い、仲間を守る為に我が身を犠牲にしている女が、魔女か。
…報われないな。
「…はぁ…はぁ…」
「おい、ユリヴェーナ…」
俺は、魔剣を構えるユリヴェーナに声をかけた。
彼女はちらりと俺を見て、険しい表情を少しだけ緩めた。
「ジュリスか…」
「…俺も…俺も、手伝い…」
彼女を取り囲んでいた政府軍の一陣は、無事に撃退した。
しかし、政府軍はまだまだ余力を残している。
恐らく、この後第二陣、第三陣が控えているはずだ。
その数の敵を、ユリヴェーナは一人で捌き切れるのか…?
…だが、ユリヴェーナは俺の予想に反してこう言った。
「良かった。ジュリス、頼む。怪我をした者を助けてくれ」
…何?
一緒に戦ってくれ、ではなく。
ユリヴェーナは、負傷した村人達を助けてやってくれ、と頼んだ。
「いや、でも、お前一人じゃ…」
「ここは問題ない…。僕に任せてくれ」
脂汗かいてるのに、何が問題ないものか。
しかし、ユリヴェーナの決意は変わらなかった。
「政府軍は僕が追い返すから。ジュリスは、後ろで村人達を癒やしてやって欲しい。頼む」
「…」
「僕を手伝いたいと思ってくれるなら、頼むからそうして欲しい…」
「…分かったよ」
そこまで言うなら、引き受けよう。
…だが、これだけは言っておく。
「…死ぬなよ、ユリヴェーナ」
後味の悪い思いをするのは御免だ。
やっぱり一緒に戦っておけば良かった、なんてことになるのは。
ユリヴェーナは、相反する魔力に苦しみながらも…ふっと微笑んでみせた。
「大丈夫だ。僕は死なない」
…そうかい。
「信じて良いんだな?」
「あぁ、信じてくれ。また後で会おう」
「…分かった」
それなら、お前の望むようにしてやるよ。
余所者に助けられるなんて、村人達は望んでないかもしれないがな。
しかしユリヴェーナの頼みなら、例え余計なお世話だったとしても、村人達を助けるとしよう。
俺はユリヴェーナを置いて、村の中心に向かって走った。


