神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜

…ともあれ。

ようやく見つけたぞ。もう逃してなるものか。

ここが年貢の納め時、って奴だ。

…と、思ったのだが。

「…」

俺は改めて、令月に捕らえられたネクロマンサーを見下ろした。

…死体を操る、なんて不気味な能力を使うくらいだから、どんな悪漢が現れるかと思ったのに…。

…子供じゃないかよ。

いつだったか、ベリクリーデがドッペルゲンガーによって断絶空間に送られたとき。

腐敗臭を感じると共に、子供の人影を見たって言ってたよな?

もしかして、あのときベリクリーデのドッペルゲンガーと共に、ベリクリーデを断絶空間に送った犯人は…。

…そう考えれば、辻褄は合うな。

じゃあ、俺達を散々苦しめた、あの童話シリーズの魔法道具についても…一枚噛んでたってことか。

なんとけしからん…。子供故の残酷さということか。

「ここで会ったが百年目、って奴だな」

色々と悪事を働いてくれたようだが…ここいらが年貢の納め時だぞ。

「お前が死体を動かしてた…ネクロマンサーなんだな?」

「…」

ネクロマンサーのガキは答えず、小馬鹿にしたような顔でこちらを見ていた。

この野郎…。縛られてる癖に、何でこんなに偉そうなんだ。

「何で里の族長の死体を動かした?童話シリーズを俺達にけしかけてきたのは、お前か?」

「…」

「死体を操って、何をするつもりだったんだ?俺達に何の恨みがある?お前の目的は何だ?」

「…」

何を聞いても、だんまりを決め込むネクロマンサー。

こいつ…。自分が子供だから殺されない、と思ってないか?

「お前…。黙ってれば済むと思ってんじゃないだろうか?」

俺だって、ガキを痛めつける趣味はない。

…でも、こいつがネクロマンサーとして悪事を働き、シルナを…殺そうとしているのなら、俺も黙ってないぞ。

「喋らなかったら、どうするの?」

余裕綽々の顔で、ネクロマンサーが聞いた。

…そうだな…。

「…シルナ。何か考えろ」

「えっ。あ、えーと…。じゃあ…罰として、丸一日チョコレート禁止、とかどうだろう」

「そうか…。お前に聞いた俺が悪かったよ」

令月やすぐりのときもお前、似たようなこと言ってたな。

ルーデュニア聖王国の拷問官がシルナだったら、黙秘する犯罪者が多発するだろうな。

すると。

「捕虜の尋問だね?それなら、俺達に任せてよ」

「僕達の得意分野だ」

元『アメノミコト』暗殺者の令月とすぐりが、進んで前に出た。

おぉ、お前達か。

そうだな。年齢的にも近いだろうし、同じ子供同士、心に訴えかければ通じ合うところがあっ、

「じゃ、まずは生爪剥いでみよっかー」

「水責めでも良いと思う」

…。

…前言、撤回。

シルナに負けず劣らず、こいつらに拷問官をやらせてはいけないと発覚した。