すると、案の定。

「見参」

「来たよー」

いつもの軽口を叩いて、元暗殺者組がやって来た。

令月とすぐりの二人である。

「お前ら…!良かった、無事だったか…」

「うん、無事だけどさー…。ちょっと残念だったよね」

「うん、残念だった」

…と、二人はお互いに肩を落としてそう言った。

残念?

無事にお茶会に間に合ったのに、何が残念なんだ?

「せめて、焼肉パーティーをしてから戻して欲しかったよねー」

「あと少しだったのに…。食べ損ねた…」

「…??」

…ちょっと、何言ってんのか分からないんだけど。

焼肉…?

「皆揃ってるね。不死身先生は?」

令月が尋ねた。

ナジュか。ナジュはな…。

「まだ来てないよ」 

「そっかー。おっそいなーあの人」

…もうすぐ来るとは思うけどな。

あいつ…変な気を起こしてないよな?

制限時間が過ぎれば死ねるとか思って、わざと招待状をスルーしてたり…。

ないとは思うが、やりかねないから怖い。

他のメンバーは揃ってるのに、ナジュだけ帰ってこなかったら、後味が悪いどころの話じゃないぞ。

「良かったですね。後味さっぱりですよ」

「あ、ナジュ…!」

気がついたら、丁度、ナジュが薔薇のアーチを潜ってきたところだった。

俺の心配は、杞憂に終わったらしい。

「お前…遅いぞ」

余計な心配したじゃないか。もっと早く来いよ。

「ヒーローは遅れてやって来る、って奴ですね」

…何を言ってんだか。

…何にせよ。

これで…これで全員だ。

俺達は無事、誰一人欠けることなく…お茶会に参加することが出来たのだ。

まだ、本番のお茶会はこれからなのに…。

この時点でもう、ホッとして、気が抜けてしまいそうだった。

…シルナの言う通りだったな。

何も心配は要らなかった。信じて、待っていれば…それで良かったのだ。

つまらない心配をしていた自分が、馬鹿馬鹿しく思える。

でもそれ以上に、安堵の気持ちの方が大きかった。

この後のお茶会で、何が待ち受けていようとも。

俺達が揃えば、恐れるべきものは何もない。










…はずだった。