「この調子で、あと二人の侵入者も始末してくれる。ふん。『裏幹部』だか何だか知らないが、大したことな…え?」

蹲った僕を蹴っ飛ばそうとした足を、ガシッ、と掴んで止めた。

…死体蹴りとは、良い趣味をしている。

しかし、間違えないで欲しい。

僕は死体ではない。

秘密兵器…このレーザー光線で、心臓を貫かれようと。

マシンガンで蜂の巣にされようと。

僕が死体になることは、有り得ないのだから。

「やれやれ、全く」

「ひっ…!い、生きて…!?」

えぇ、生きてますよ僕は。

死のうと思っても、なかなか死ねないもので。

「な…!こ、殺しても死なないなんて…こいつは化け物か…!?」

御名答。

殺しても死なないんだから、僕は化け物ですよ。

この場にいる一同、驚愕と恐怖に青ざめているところ、悪いんですけど。

「済みませんね。…死んでもらえます?」

風魔法の刃が、武器庫の中を埋め尽くした。

武器庫の中に集まっていた全ての『M.T.S社』の構成員が、風魔法の刃に切り裂かれた。

申し訳ありませんね。

でも、レーザー兵器で先に「分からん殺し」されたのは、僕の方なんで。

そのお返しですよ。

「…ふぅ、片付きましたね」

…あ。

風魔法で、レーザー兵器ごと破壊しちゃった。

これ、残しておいた方が良かっただろうか。

うっかり、勢い余って破壊してしまった。

まぁ良いか。そういうこともある。

いすまれにしても、秘密兵器の存在を明らかにすることは出来た。

これで良しとしよう。

「…ん?」

武器庫を後にしようとして、僕はふと、武器庫の棚の奥に、青い封筒のようなものを見つけた。

およそ、武器庫には似合わない明るい色だが。

これって、もしかして…。

「…これが…お茶会の招待状、ですか」

ポジションを演じるのに集中して、招待状の捜索は後回しにしていたが。

案外、あっさりと見つかったものだ。

と言うか…ポジションを演じていたら、自然に見つかるように「設定」されていたようだ。

意外と親切設計じゃないですか。

まぁ、あくまでこれは前哨戦。

本番は、この後待ち受けているであろうアリスのお茶会だ。

「…楽しみですね」

お茶会への切符は、無事に手に入れた。

あとは…本番のお茶会に臨むだけだ。