神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜

『八千歳』と一緒に、学院長室に来てみると。

心配していた、学院長の様子を一番に確認したところ。

「盛り塩じゃ効果がないのかもしれない…。盛り塩じゃなくて…盛りチョコレートにすべきなのでは…!?」

「…」

小皿の上にチョコレートを乗せて、変なことを呟いている学院長。

…かと思えば。

「むしろ、和解を試みるべきかもしれない。チョコレートを一緒に食べれば、幽霊と言えども、仲良くなれるかもしれない…!」

と、宣う学院長。

変なことは言ってるけど、至って通常運転に見える。

ついでに。

「幽霊が、モノを食べられるのか…?」

と、ツッコミを入れる羽久も、いつも通りに見える。

特に変わった様子はない。

じゃあ、『八千歳』がさっき言っていたことは…?

学院長の様子がおかしいっていうあの噂は、本当なんだろうか。

僕の見たところでは、様子がおかしいようには、とても…。

「…」

「…」

僕と『八千歳』は、互いに顔を見合わせた。

そして、内心首を傾げていた。

一体どういうことなんだろ。これは。

すると、そのとき。

「いやはや、なかなか会おうと思っても会えないものですね」

「うん…。でもまぁ、僕は正直、幽霊を見たいとは思わないから…。見ないで済んでて良いのかも…」

あ、不死身先生と天音だ。

この二人のセットも、最近よく見るよね。

仲良しなのかもしれない。僕と『八千歳』と同じだね。

「あ、ナジュせんせーだ」

「どうですか?進捗状況は。幽霊は捕まえられそうですか」

「捕まえたいんだけどさー。捕まらないし…。それに、色々気になることもあるし」

「気になること?…あぁ、成程…」

『八千歳』の心を読んだのか、不死身先生は一人で納得していた。

…。

確か不死身先生も、生徒の心を読みまくって、目撃情報を集めてるんだっけ。

じゃあ、相談相手にはうってつけかも。

「…『八千歳』。不死身先生に…」

「そーだね。相談してみよう」

僕と『八千歳』は、学院長に聞こえないよう、小声でそう言った。

「ナジュせんせー、ちょっと外で話そう」

「良いですよ。…天音さんも連れてって良いですよね?」

天音?

「うん、いーよ」

「分かりました。じゃあ天音さん、ちょっと来てください」

「え?何で?どういうこと?」

「来たら分かりますから」

不死身先生は、強引に天音の背中を押して、学院長室の外に連れ出した。

僕と『八千歳』も、二人に続いて部屋の外に出た。