神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜

その優しさは有り難いんですが…。

「僕は一人でも大丈夫ですよ」

むしろ、一人にしてくれた方が都合が良い。

「でも…」

「大丈夫ですよ、ルーチェスなら、心配しなくても。なんだって彼は、俺の一番弟子ですからね」

と、ルレイアさん。

へぇ。この人、僕の師匠なのか。

随分物騒な師匠をお持ちのようで。

「自分の弟子に手柄を立たせてあげたいという、師匠心ですよ」

「いや…そうは言うけどな…」

「おっと、ルルシーさん。僕の実力を疑ってるんですか?」

今なら、風魔法に読心魔法をつけて、ついでに不死身ですよ。

少なくとも、魔導適性のない人間に負けるつもりはない。

例え何人集まろうとも。

「…そういう訳じゃないけど…」

「だったら、信用して任せてくださいよ」

「…分かったよ」

渋々といった様子で、ルルシーさんが頷いた。

「でも、無理はするなよ。秘密兵器の存在もまだ確認出来てないんだし…。劣勢になったら、すぐ退却しろよ」

「はいはい、分かりました」

ご心配どうも。

僕の辞書には、特攻という文字はあっても、退却の文字はないな。

「俺達も、出来るだけ早めに合流する。それまで持ち堪えてくれ」

「了解しました」

「あ、勿論、持ち堪えなくても、殲滅出来るならそうしても良いんですからね」

「えぇ、それはもう。そのつもりです」

言われずとも。

「それじゃ、行きましょうか。ルルシー」

「あぁ」

背中を合わせた二人の先輩は、勢いよく敵陣のど真ん中に突っ込んでいった。

なんと勇ましい。

恐れ知らずは、令月さんとすぐりさんにそっくりだな。

息の合った連係プレーは、まるでお互いの手足を自在に動かしているかのよう。

以心伝心ってことか…。見事ですね。

あんな風に連携出来るペアは、聖魔騎士団でも、キュレム&ルイーシュペアくらいだろうな。

洗練された戦闘スタイルに、思わず見惚れてしまいそうになったが…。

「…おっと」

目の前に、ぴゅんぴゅんと弾丸が飛んできて、僕は我に返った。

そういや、ここも戦場なんだっけ。

ボケっとしてたら、蜂の巣にされてしまう。

いや、蜂の巣にされても、死にませんけど。

僕の役目は、この奥にあるという武器庫の制圧だっけ?

武器を奪ってしまえば、敵は戦う術をなくす。

それに、秘密兵器…とやらの情報も、無視出来ない。

早いところ、武器庫を抑えてしまうとしよう。