神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜

『八千歳』の指導のもと。

僕達は時間をかけて、ぺたぺたと白い花に色を塗っていった。

最初は慣れなかったけど、途中から段々、作業ペースが早くなってきた。

やってみると、案外楽しいものだね。

何だか塗り絵みたい。

「よし…こんなものかな」

これまた、家の修繕やゴミ拾いと同じく、三時間きっかりで。

無事、全ての花の色塗りが完了した。

頑張ったね。

『八千歳』が指導してくれたから、これでも早く終わった方だよ。

『八千歳』の指示がなかったら、多分もっと時間かかってたと思う。

「ちぐはぐだけど、なかなか綺麗だね」

「うん。ツキナにも見せてあげたいよ」

そうだね。喜びそう。

…まぁ、ペンキで色塗ってるだけなんだけど。

今更ながら、ペンキなんかで色を塗って、この花、大丈夫なのかな?

元々ここは不思議な世界だから、多分大丈夫だろう。

…すると。

「おっ、無事に終わったようだな」

サボっていた庭師のお兄さんが、今更戻ってきた。

「まだ終わってなかったら手伝おうと思ったんだが…ちゃんと二人だけで終わらせたんだな」

手伝うつもりなら、もっと早く帰ってきてくれれば良かったのに。

白々しい。

「よし、よくやったお前達。この働きに免じて…公爵夫人に言いつけるのは、よしてやろう」

「…」

…何、その上から目線。

君がサボってたこと、僕達が公爵夫人に言いつけても良いんだよ。

しかし。

「…ところでお兄さん。君、白ウサギの居場所知らない?」

「白ウサギ?」

「僕達、白ウサギを探してるんだ」

「それから、お茶会の招待状もね」

と、僕達は説明した。

すると。

「白ウサギなら、さっきりんごの木に上って、昼寝してるところを見たぞ」

…お?

「それと…招待状かどうかは分からないが、白ウサギの上着のポケットに、封筒みたいなものが入ってたな…」

…おぉ?

何だか、凄く有益な情報。

その情報に免じて、僕達も公爵夫人に言いつけるのは勘弁してあげるよ。

「分かった。探してみるよ」

「あぁ、りんごの木は裏庭にある。行ってみると良い」

「うん」

ウサギが寝てるなら、丁度良い。

「…『八千歳』、仕掛けよう」

「うん。ぜっこーのチャンスだね」

さっき、いちごミルフィーユ村のおばさんからもらった、この切り札。

これを使う、またとない機会だ。