…なかなか、立派な屋敷だ。
「あっ…」
白ウサギは、ひょいっと塀を越えて、屋敷の敷地内に入っていった。
追いかけようか。僕達も。
高い塀だったが、僕達にとって、この程度の壁は防御にも何にもならない。
あっという間に乗り越えて、敷地内に侵入成功。
この辺りの技術は、イーニシュフェルト魔導学院で鍛えられている。
毎晩侵入してるからね。慣れたものだ。
屋敷の敷地内に入ると、様々な花が植えられた花壇や、庭木が生い茂っていた。
ここが、公爵夫人の庭?
手入れが大変そうだ。
「うわー…。何この花…?」
『八千歳』が、思わず眉をひそめる。
その気持ちはよく分かる。
ここに咲いている花は、普段園芸部で『八千歳』達が育てている花とは、全く違っていた。
どの花も、白紙のページのように真っ白。
その真っ白の花に、色とりどりのペンキが塗ってあった。
さっき、卵の化け物に会った場所も、こんな花が咲いてたね。
しかも、まだペンキの塗りかけなのか。
色とりどりのペンキが入ったバケツが、地面に置きっぱなしになっていた。
ペンキを塗ったばかりの白い花びらから、塗りたてのペンキが剥がれかかっていた。
…酷い有り様だ。
この世界に咲く花には、どれもこれも、色がないのだろうか?
「うわ、見てよこのひまわり…。ひまわりなのに、真っ白だよ」
『八千歳』が、花壇を指差してそう言った。
園芸部の『八千歳』にしてみれば、このような光景を目にすれば、思うところがあるのかもしれない。
「変な世界だなー…。…あ、そうだ、それより白ウサギは」
「あっち」
指差す先に、白ウサギがこちらを見ながら待っていた。
今なら、捕まえられるか?
切り札に手を伸ばそうとしたが、一歩遅かった。
白ウサギはそっぽを向いて、たたたっ、と走り出した。
…のは、良いのだが。
わざとなのか、それとも偶然なのかは知らないが。
逃げる拍子に、白ウサギはペンキのバケツを、後ろ脚で蹴っ飛ばしていった。
あっ。
声を出す間もなく、バケツがひっくり返り。
中に入っていたペンキが、べっとりと花壇に撒き散らされた。
…足元には注意しようよ。
しかし白ウサギは、そんなことは知らないとばかりに無視。
カサカサと音を立てて、茂みの中に消えていった。
「また見失った…!」
「まだ近くにいるかも。手分けして植え込みの中をさが、」
と、言いかけたそのとき。
「こら、お前達!そこで何やってる!」
…またしても。
何者かに呼び止められ、僕はうんざりしながら振り返った。
そこには、ペンキまみれのエプロンとバンダナをつけ、ペンキを塗るハケを持ったお兄さんがいた。
「あっ…」
白ウサギは、ひょいっと塀を越えて、屋敷の敷地内に入っていった。
追いかけようか。僕達も。
高い塀だったが、僕達にとって、この程度の壁は防御にも何にもならない。
あっという間に乗り越えて、敷地内に侵入成功。
この辺りの技術は、イーニシュフェルト魔導学院で鍛えられている。
毎晩侵入してるからね。慣れたものだ。
屋敷の敷地内に入ると、様々な花が植えられた花壇や、庭木が生い茂っていた。
ここが、公爵夫人の庭?
手入れが大変そうだ。
「うわー…。何この花…?」
『八千歳』が、思わず眉をひそめる。
その気持ちはよく分かる。
ここに咲いている花は、普段園芸部で『八千歳』達が育てている花とは、全く違っていた。
どの花も、白紙のページのように真っ白。
その真っ白の花に、色とりどりのペンキが塗ってあった。
さっき、卵の化け物に会った場所も、こんな花が咲いてたね。
しかも、まだペンキの塗りかけなのか。
色とりどりのペンキが入ったバケツが、地面に置きっぱなしになっていた。
ペンキを塗ったばかりの白い花びらから、塗りたてのペンキが剥がれかかっていた。
…酷い有り様だ。
この世界に咲く花には、どれもこれも、色がないのだろうか?
「うわ、見てよこのひまわり…。ひまわりなのに、真っ白だよ」
『八千歳』が、花壇を指差してそう言った。
園芸部の『八千歳』にしてみれば、このような光景を目にすれば、思うところがあるのかもしれない。
「変な世界だなー…。…あ、そうだ、それより白ウサギは」
「あっち」
指差す先に、白ウサギがこちらを見ながら待っていた。
今なら、捕まえられるか?
切り札に手を伸ばそうとしたが、一歩遅かった。
白ウサギはそっぽを向いて、たたたっ、と走り出した。
…のは、良いのだが。
わざとなのか、それとも偶然なのかは知らないが。
逃げる拍子に、白ウサギはペンキのバケツを、後ろ脚で蹴っ飛ばしていった。
あっ。
声を出す間もなく、バケツがひっくり返り。
中に入っていたペンキが、べっとりと花壇に撒き散らされた。
…足元には注意しようよ。
しかし白ウサギは、そんなことは知らないとばかりに無視。
カサカサと音を立てて、茂みの中に消えていった。
「また見失った…!」
「まだ近くにいるかも。手分けして植え込みの中をさが、」
と、言いかけたそのとき。
「こら、お前達!そこで何やってる!」
…またしても。
何者かに呼び止められ、僕はうんざりしながら振り返った。
そこには、ペンキまみれのエプロンとバンダナをつけ、ペンキを塗るハケを持ったお兄さんがいた。


