神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜

このような成り行きで。

僕と『八千歳』は、二人でいちごミルフィーユ村を掃除することになった。

さっきは家を直して、今度は村を掃除して。

今日はよく働いたなぁ。

いや、まだまだ終わってないんだけど…。

しかもこの掃除は、普通の掃除ではない。

「ほらっ、そこにもゴミが落ちてるよ。残らず全部拾うんだよ。ほらっ、あそこにも」

「…」

おばさんが口うるさく指示を出す、その指差す先には。

ゴミ…と呼ぶには、あまりに勿体ないものが落っこちていた。

宝石である。

やっぱりこのおばさん、宝石をゴミだと思ってるんだ。

もしかして、ちょっと頭が弱い人?

これをゴミとして拾い、処分するのは、気が引けるんだけど。

ルーデュニア聖王国では、宝石はゴミ扱いなの?

それとも、このおばさん限定…?

内心首を傾げていると、そのとき。

「うわっ。まーたゴミだらけだ!」

通りすがりの、村人のお兄さんが足を止めた。

「ちょっと!お前達、掃除をしているなら丁度良い。うちの前のゴミも片付けておいてくれ!」

そして、勝手なことを僕達に指示していった。

自分の家の前くらい、自分で掃除してよ。

何で、ついで感覚で僕達に頼むんだろう。

しかも案の定、彼の家に散らばる「ゴミ」というのは…やっぱり、キラキラ光る宝石だった。

成程、あのお兄さんも、宝石をゴミだと認識してるんだ。

このおばさんだけが、頭おかしかった訳じゃないんだね。

やっぱり、宝石がゴミになるのは、この世界限定の価値観なのかもしれない。

と言うか、何処から運ばれてきたんだろう、この宝石。

ゴミとして捨てられるなんて、宝石としても納得行かないだろうに。

「ほら、きびきび働くんだよ。さもないとこの村から出さないからね!」

「…はいはい、分かったよ、もー…」

口を尖らせて、『八千歳』はホウキを動かした。

…仕方ないね。こうなったからには。

じゃあ、僕も頑張るとしよう。

手分けして作業すれば、きっとすぐに終わるよ。

僕は宝石をホウキでかき集め。

村中のゴミ拾い…ならぬ、宝石拾いを始めた。

宝石拾い…か。

何だか、凄く贅沢なことをしている気分である。